ピクスタ株式会社 (3416)、ビジネスモデル・事業分析、強みと成長可能性

ピクスタ株式会社 (3416)、ビジネスモデル・事業分析、強みと成長可能性

ピクスタ(3416)の株価、業績、売上高等を分析、考察しています。インターネットのプラットフォーム事業を展開している点、時価総額が極めて低いという点でピックアップしております。

まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。

株価関連情報

(調査日時:2021/10)

時価総額:26億円

PER(予):-

PBR:3.6倍

時価総額は26億円と小型株の中でも、さらに低い水準です。なかなか株価は上がらずに、低迷状態が続いております。

売上高推移

(単位:百万円)

2016年:1,758

2017年:2,231

2018年:2,514

2019年:2,759

2020年:2,625

売上高という単体で見てみれば、悪くはありません。2016年の17億から2019年には27億円まで増やしております。過去の成長率が、二桁台だったのに比べて、2019年近辺から成長率が落ちていることが少し気にはなります。

営業利益推移

(単位:百万円)

2016年:155

2017年:17

2018年:110

2019年:160

2020年:38

営業利益は、少ない水準ですが、上がっています。利益を上げるフェーズではないこと、もしくはビジネスモデル的に課題を抱えているのか、ここは見極めが必要なポイントです。

当期利益推移

(単位:百万円)

2016年:100

2017年:-6

2018年:20

2019年:90

2020年:-112

当期利益も同様です。投資先行で、事業の拡大、トップライン(売上高)の拡大をまずは目標に進めているのかもしれません。プラットフォーム事業を展開する企業にはよくあるP/Lです。

ROE推移

(単位:%)

2016年:15.3

2017年:-

2018年:3.0

2019年:11.5

2020年:-

ROEは特にこのような企業の場合には、参考になりません。ROEだけでスクリーニングをかけると、このような成長途上の企業や、投資先行型の企業は引っかかってこないので、注意が必要です。

参考:【まとめ】小型、成長株のおすすめスクリーニング方法、実践編

有利子負債推移

(単位:百万円)

2016年:-

2017年:255

2018年:195

2019年:135

2020年:342

有利子負債の水準はそこまで高くありません。そこまでまとまった資金が必要な業態ではないのでしょう。

現金等推移

(単位:百万円)

2016年:728

2017年:875

2018年:1,013

2019年:1,050

2020年:1,292

現金は潤沢にあります。時価総額26億円の企業で、10億円のキャッシュがあるので、安心ではあります。有利子負債も先ほど見た通り、高くありません。

キャッシュフロー推移

営業活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:245

2017年:84

2018年:287

2019年:226

2020年:196

営業キャッシュフローの水準は高くないのですが、プラスで推移しています。ただ、水準が成長していないところが少し気がかりです。

投資活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-223

2017年:-193

2018年:-86

2019年:-128

2020年:-163

投資活動もそこまで高くありません。2016年から、投資の水準を抑えている可能性があるので、将来に向けて少し抑えている可能性があるのか、チェックが必要でしょう。

財務活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:0

2017年:256

2018年:-58

2019年:-57

2020年:206

特に大きな動きはありません。

フリーキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:22

2017年:-108

2018年:200

2019年:97

2020年:32

フリーキャッシュフローは、2019年に水準を下げています。安定的にキャッシュが積み上がるフェーズではないと言えるでしょう。

ピクスタ事業内容

※以下のコンテンツは、2018年4月に調査した内容となるので、ご留意ください。

ピクスタに注目していた理由としては、時価総額の低さ、過去の成長性を見て面白そうだと思ったことです。インターネット事業で、成長する可能性があると考えたからです。

さて、何をやっている会社かというと、ホームページ上でも記載ありますが、

  • デジタル素材のオンラインマーケットプレイス「PIXTA」の運営
  • 出張撮影マッチングサービス「fotowa」の運営

二つをメイン事業としています。

会社ミッションは「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」と、クリエイターなどの才能ある個々人が能力を発揮して、社会に貢献するという意味合いが込められていると思います。

それを実現するための事業としてのPIXTAやfotowaがあり、ミッションとの一貫性はありますね。

IT技術を活用した、個々人の才能を生かした事業を作り、WIN-WINの関係構築をすることを目指しているのでしょう。事業の社会性も高いと思われます。

ピクスタ、ビジネスモデル

ピクスタのビジネスモデルは典型的なプラットフォームビジネスです。

基本的にはクリエイターが素材の元となる画像や動画を投稿し、購入者がPIXTAから購入するモデル。ピクスタは、購入代金より手数料で売上を上げるモデルです。

重要なのはクリエイターの存在

このビジネスの肝となるのは、クリエイターにとってどれだけメリットがあるか、購入者にとっては、いかに良質なコンテンツを安く提供できるかというところでしょう。

クリエイターにとってもメリットとしては、どれだけ稼げるかということでしょう。

実際どのようなクリエイターがピクスタ に投稿しているのかは気になったので、調べてみました。

クリエイター向けガイドラインのページがあり、インタビュー記事もこちらに掲載されていました。

こちらを拝見すると、しっかりと素材の提供にはガイドラインが規定され、一枚一枚審査があることが分かります。これはすごい。

クリエイターの方は、バリバリのプロという方というよりも、もともと写真が好きとかクリエイター関連の仕事に携わっていた方が多いのかもしれません。

収益はもちろんですが、そもそもクリエイターの仕事が好きな人が多いような印象があります。

質の部分でどの程度、良質なものを提供できるかという点では、審査もしっかりしてそうで問題なさそうです。

実際にピクスタ活用している購入者やメディア関係者について評判はヒアリングしてみたいものです。

商材としてのコンテンツ量も豊富

現時点(2018年4月19日)時点で、ピクスタには、なんと素材点数が32,198,283点 クリエイター数が253,113人登録されており、基盤がしっかりしている印象があります。

このビジネスの良いところは、一度コンテンツが積み上がっていけば、あとは加速度的にビジネスが成長していく点でしょう。

原価もサイト運営費用と、クリエイターへの手数料支払い程度と考えられるので利益率も高いはず。

海外展開も模索中

もう一つ、このビジネスモデルの面白い点は、海外展開のしやすさという点。

現在ピクスタ は、台湾、タイ、ベトナム、シンガポール、韓国に進出しています。

基本的に立ち上げは同じオペレーションでできることと、何と言っても、他の競業他社に比べて、よりローカル色の強い素材が提供できるということが上げられると思います。

ブログを運営している人ならなとなく分かると思うのですが、無料画像を検索しているときに、やたらと同じ外人の女性の画像が出てきたりしませんか。

グローバルの競合プレイヤーはどうしても素材元が欧米だったり、そのビジネスを運営している拠点に紐づいてしまうので、本質的にはローカライズができていない。

ユーザーからすると、よりローカライズができている画像の方が親近感があり、ベターですよね。

そういう意味でもピクスタ のビジネスモデルは、差別化ができている点、面白そうです。

fotowaのビジネスモデル

サイトを見れば分かるのですが、プロのカメラマンの出張サービスをプラットフォームで簡単予約できるサイトです。

このサービスありそうで、無かったサービスですよね。

特にプロのカメラマンってどこで探せば良いか分からない、とりあえず近くのカメラ屋を探すというのがこれまでの定番だった。

明確な料金形態が魅力的

ただ、その際にも写真の撮り方のカスタマイズはしにくいし、料金形態が不明瞭、写真点数の少なさ、といって不便な点が多かったはず。

fotowaはこれら不便さを解消するビジネスモデルです。

定額である点、写真点数が豊富、多くの選択肢からプロのカメラマンを指定できる、自分にあった撮り方のカスタマイズが可能と、不便を解消してくれるのでニーズはありそうです。

大切なイベントの時に、思い出としてとっておきの写真を取ることが、2万円程度でできるなら、かなりお得な感覚はあります。

クリエイターとのネットワークを既にピクスタで確立しているので、隣接点での新規事業ということで立ち上がりも早いと思うので、他の国でも同時展開ができる。

特に中華系は写真文化が強いので、香港、台湾、中国などはニーズが高そう。

ただ、同じことをやっているスタートアップはいくつもありそうなので、どうやって差別化するかが課題となると思われます。

ピクスタが狙っている業界は魅力的か。

厳密に、業界の市場規模や成長性を示すことは難しいのですが、今後もインターネット上でのコンテンツは充実して成長が止まることはないでしょう。

よりコンテンツをリッチにするために、より良い素材を活用することは重要な要素となると考えられるので、業界の将来性は良いと思います。

海外の調査では、ストックイメージ市場は、2020年までに4000億円、年平均成長率は7%という予測もあり、世界規模でも成長するマーケットであることが伺えます。

時代の大き流れとしては、コンテンツ量産の時代から、いかに差別化するか、良質なものを提供するか、という点で、クリエイターのマーケットは注目すべき市場だと思われます。

業績について

過去の売上、利益の推移をみると、売上高は、順調に伸びているものの、営業利益は伸びていません。

2017年度は、韓国の買収、新規事業などの先行投資があったことが原因のようで、未だ投資が先行しているためです。

この点は、プラットフォーム事業においては、まずは面を取りに行くことが優先されるためだと思います。

中身をみてみると、大きな課題であった、定額制購入の増強に関しても、17-4Qでは前期比63.8%あり、順調に伸びているのではないかと思います。

また、新規事業のfotowaも開発費などの初期投資はかかるものの、ニーズを捉え順調に伸びていることを考えると、とても堅実にみえる。

ピクスタの経営者はどんな人か。

代表取締役 / 古俣大介 (こまた・だいすけ)

1976年9月生まれ。
多摩大学在学中に、コーヒー豆のEC販売、女性向け古着販売を開始。その後大学4年次に株式会社ガイアックスにインターン入社。正社員入社後、営業マネージャーとして2つの新規事業部を立ち上げた後、2000年9月に子会社の立ち上げに参画、取締役に就任。
2002年1月 有限会社万来設立、取締役社長に就任。飲食店舗向け販促デザイン事業を開始。
2003年3月に撤退し、美容健康グッズのEC事業を開始。2年後に年商1億円となる。
2005年8月 株式会社オンボード(現 ピクスタ株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。
2013年11月にPIXTA ASIA PTE.LTD. Director就任、2016年5月にPIXTA VIETNAM CO., LTD. 会長就任、同年12月にPIXTA (THAILAND) CO., LTD. Director就任、2017年3月にTopic Images Inc. 理事就任(すべて現任)。

出典:会社HPより

こちらインタビュー記事が参考になります。インタビュー記事から読み取れるのは、

・事業立ち上げ経験豊富
・原体験に基づいた企業、人生をかけられる事業であるという熱い思い
・足元では冷静、堅実な考え方、積み上げの重要さを理解
・企業文化、行動指針を大切にする考え方

を持った経営者だと思われます。とても面白い経営者ですね〜

ピクスタ、事業の成長性

新規事業に積極的に投資をしたり、東南アジアでのNo.1プラットフォームになることを掲げていること。

また、ポイントが高いのが、実際にスピード感を持って着々とそれらの目標を実行して、成果を上げている点において、とても成長性のある会社だと感じました。

それは、経営者のインタビュー記事にもある通り、熱い思いを持っていると同時に足元で着実に一歩ずつ積み上げていくという姿勢があるからでしょう。

その経営者の考え方が、企業文化、行動指針として企業に浸透しているのではないかなと、勝手に推察しています。

参入障壁はあるか。

プラットフォーム事業ですので、圧倒的なコンテンツの量とクリエイターとのネットワークを築くことができれば、相当高い参入障壁が築けると思います。

また、実は細部にあるコンテンツの審査のプロセスや、クリエイターの囲い込みの方法などは、見えない部分でノウハウがいるところで、単純に新規で入ってきた企業が築けるところではないと考えれられます。

財務の健全性

財務はかなり安定していると見えます。

直近の平成29年度12月期、決算短信では、現金 8.3億円に対して、負債は長期と短期借入を合わせた2.5億円。

その他特筆すべき項目もなく、インターネットビジネスなので、アセットライトです。

ピクスタの株価は割安か。

本日時点のYahooファイナンスでは、PER 184倍、PBR 5.59倍ですが、これは先行投資によってかなり減った利益を元に算出しているのであまり当てになりません。

現時点で時価総額が3,689百万円である点、今後の成長性および、ビジネスモデル上プラットフォームによる加速度的な成長が見込めれば、まだまだ割安と言えるでしょう。

分析コメント

ビジネスモデル、時価総額の低さ、堅実な経営、新規事業への積極投資、東南アジアへの積極進出などを見ると、面白い企業であり、長期で見れば、大きく化ける可能性がある会社だなと感じました。

テンバガー可能性

「B」評価です。

時価総額が30億以下の今の小型水準であれば、人気化すればテンバガーの可能性も出てくるかとは思いますが、現時点で客観的に業績を見る限りでは、コア事業であるプラットフォーム事業の方が苦戦しているそうで、なかなか現時点では判断が難しいです。事業内容としては、プラットフォーム事業なので、ビジネスの拡張性は大きいはずなのですが、成長スピードが少し鈍化している点がやはり気がかりです。

※「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階で勝手に評価した場合です。

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関連記事:SBI証券のスクリーニング指標一覧、機能の使い方

関連記事:小型株・成長株、銘柄一覧まとめ【日本の有望銘柄80社をブログで紹介】

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関連記事:株式投資の本質を勉強するためのおすすめ書籍10冊

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