アメリカ、医療系、注目ヘルスケア・ベンチャー企業14社まとめ

アメリカ、医療系、注目ヘルスケア・ベンチャー企業14社まとめ

アメリカのヘルスケア・医療系スタートアップのトレンドを理解する事で、今後のヘルスケア業界の流れや、日本企業にとっても事業の構想を理解できるのではないかと思い、いくつか気になったスタートアップを纏めてみました。

関連記事:2018年度、日本、医療・介護・ヘルスケア分野、注目のスタートアップ18社まとめ

Athos (IoT xフィットネス | アスリート向けトレーニングソリューション提供)

リンク http://www.liveAthos.com

・事業内容

アスリート向けのトレーニングソリューションを提供。小さなデバイスを足や腰に付けることで、デバイスから筋肉の動きをデータを読み取り、トレーニングを最適化。IoT x Fitnessのスタートアップ。

・注目点

筋肉の動き、負荷を可視化できるので、各アスリートに最適な運動量を支持することができる。

また、アスリート自身も気づいていない、オーバートレーニングにも気づくことができるため、怪我の予防にも繋がる。

・個人的見解

身体の動きもデータ化、可視化される時代が到来している。

トレーニングが効率的にデータに基づいて行われれば、より効率的にトレーニングが可能になる。

パーソナルトレーナーも単純にトレーニングメニューを理解した体格の良い人から、データ分析で指示ができるデータサイエンティスト的な人物像に変わっていくかもしれない。

Amino (アルゴリズム活用、最適なドクター検索プラットフォーム)

https://amino.com

・事業内容

当社は、膨大な医療請求のデータをもとにアルゴリズムを生成、アルゴリズムを活用し、ユーザーに最適なドクターをアプリ上で推奨。

ユーザーはコストを自動的に治療にかかるを事前に見積もることができる。

ドクターとの予約もアプリ上で完結。治療後も、レシートを撮影し管理することができ、税金処理も簡単に済むことが可能。

・注目点

医療に関わる一連のプロセスをAminoアプリ一つで完結することができる。

民間保険が主流の米国ならではの、コスト見積もり機能や、支払い能力のチェックなどをソリューションを提供している。

最適なドクターとのマッチングのアルゴリズムは、膨大なデータから生成しており、提携している医師の数も95万人と桁違い。

・個人的見解

医療請求のデータを基に、マッチングの最適なアルゴリズムを生成しているので、ドクター選びが簡単になること、いくら掛かるのかが事前に予想できる点は、ユーザーの課題を解決できる革新的なサービス。

単純な医療施設の検索サービスとは一線を画す。日本でもこんなサービスがあれば使いたいと思う。

Sano (血糖値測定デバイス)

https://sano.co 

・事業内容

血糖値レベルを痛みを伴わずにセンサーで計測できるデバイスの開発。

現在多くの人に使用されているデバイスは、針を指先に刺して、血液を測定デバイスを用いて血糖値を計測する方法。

・注目点

常にセンサーで血糖値をモニタリングできる当社のデバイスは、既存の血糖値測定デバイスを覆す革新的な製品。

・個人的見解

糖尿病患者以外の一般ユーザーにとっても、血糖値の状態を身近に測定することができれば、血糖値が上がりやすい食事や、運動の前にどの程度のエネルギーが必要かもデータから分析することができる。

血糖値を測定することがより身近な生活の一部となる時代がくる可能性がある。

Savioke (デリバリーロボット)

https://savioke.com

・事業内容

サービスロボットの開発。指定された場所へ物を運ぶことができる室内デリバリーロボット。利用シーンは、ホテル、アパートメント、病院施設内、等。

・注目点

サイト上では、どのような環境でも適応できると記載あり、自主的にエレベーターへも乗ることができる点、自動でチャージ、物のトラッキングシステム、24時間サポートがある。

特筆すべきは、ロボットの環境への適応力であろう。

シェラトンなどの高級ホテルやFedExなどの大手物流会社などに導入事例がある。

日本からだと、リクルート、NECネットアイがInvestor & パートナーの項目に記載あり。

・個人的見解

室内で物を運ぶことに割かれていた人件費、時間を代替することができれば、大きな便益となる。

例えば、アパートの高層階に住んでいる住人への配達物が届いた際に、ロビーに取りに行くことなく、Saviokeのロボットが玄関前まで届けてくれることができれば、便利である。

安全性という観点からも、誰が、何を、どこに届けたかというデータがトラッキングできるので、人が運ぶよりも安全と考えられる。

日本だと、上場企業のトランザスとオムロンが同じようなデリバリーロボットを共同開発していた記憶がある。

Everplans (遺書や金融情報などの情報ストレージ、生前準備プラットフォーム)

http://www.everplans.com

・事業内容

生前に残された家族、友人向けにデータをまとめる事ができるデータストレージのサービスを提供。

個人向けと、保険の担当者、ファイナンシャルアドバイザーがクライアントに提供するプロ向けのサービスと二種類ある。

・注目点

データ上で、必要な情報を全て一括に保存する事ができる点は秀逸。

個別の状況に合わせたカスタマイズされたガイダンスもあり、何をデータとして残しておくべきか、よく分からない人でもガイダンスに従いまとめる事ができる。

遺書、銀行口座、パスワード、生命保険、葬式の要望など。

・個人的見解

遺書を書く事は一般的かもしれないが、突然の死によって、残された家族が、どこに情報が纏まっているのか困惑するケースは多々あるのではないだろうか。

個人的にも、祖父母が金融関係の書類がバラバラとなっており、全てを聞き出してエクセル上でまとめる作業をした事がある。

情報管理の観点と、抜け漏れがないかという観点から、このサイトのサービスはかなり有効だろう。日本に同様のサービスはあるのだろうか。

 

Roam Analytics (AI x ヘルスケア)

http://roamanalytics.com

・事業内容

AI x Healthcareスタートアップ。患者のデータをAIを活用する事で、理解しやすい形にし、医療専門家が最適な意思決定を促せすことを手助けする。

・注目点

特徴としては、

・目的主導のデータ抽出で不完全な医療データを解析しやすいフォーマットで形成する。

・当社の自然言語フレームワークによって、テキストデータや不完全なデータを価値あるデータへ変換。

・機械学習フレームワークを活用して、患者データを、患者の状態が分かる形でのデータを形成する。

・個人的見解

具体的な事例があまりなかったので、理解を深める事ができなかったが、日本のスタートアップでいうところのハカルスや、MICINが近い分野で取り組みをしていると思われる。

Greatist (メディア x ヘルスケア)

http://greatist.com

・事業内容

健康系メディア、コンテンツは、Food, Fitness, Body, Life, Product, Workout Videoの6種類。

・注目点

一見すると普通のメディアと大差が無さそうだが、健康系の専門メディアというよりは、日々の生活の中で取り入れる事ができる、より生活の実態に沿ったメディアに近いと言える。

それ自体も彼らのコンセプトとして掲げている。

一方で、専門性を担保するためにも2人以上のプロによるレビューも実施しているので、内容の質も維持している努力がみられる。

・個人的見解

ダイエット系のメディアだとどうしても、即効性のあるものや、生活とはかけ離れたダイエットを推奨しがちであるが、当メディアは、ユーザーに寄り添う形のコンテンツが中心となっている点が面白い。

メディアはなかなか差別化しにくい領域ではあるが、このメディアはコンセプトがしっかりしているからか、既に8億近く調達している。

Jaanuu (アパレル x ヘルスケア)

http://www.Jaanuu.com

・事業内容

医療従事者向けユニフォームの開発、販売

・注目点

サイトへ行っていただければ分かるが、かなりスタイリッシュでモーダンな仕上がりとなっている。繊維や加工技術に拘り、かつ機能、デザイン性も追求したユニフォームとなっている。

・個人的見解

医療のユニフォーム業界は実はイノベーションがあまり起きていない領域かもしれない。

しかし、働く人からするとお洒落な格好で働くことは従業員のモチベーションを上げるとともに、他社と差別化できる要素にもなり得るのではないか。

日本だとクラシコ社が同じ領域だろうか。

Fit3D (身体測定デバイス)

http://www.fit3d.com

・事業内容

3Dボディー計測デバイスの開発、販売

・注目点

3Dで身体全体の細部に渡るサイズ(100項目)、体組成計を計測する事ができる。計測時間は45秒。利用シーンは、フィットネス、ウェルネス、医療現場、アパレル小売など。

・個人的見解

これまでのジムでの身体の測定は、身体全体を3Dで把握する事はできなかったので、細部に渡った身体の変化を認識する事ができなかった。

当社のシステムを活用する事で、より細部に渡り身体の状態を把握する事が可能となる。アパレルも身体にピッタリあったサイズの服をカスタマイズすることも可能となっていくだろう。

ZOZOスーツは、既に身体測定によるカスタマイズ製品を販売している。世界的にも、身体測定の技術が一般的になり、生産体制が整えばアパレル商品のカスタマイズ製品は増えていくと思われる。

Noteworth (測定キット、ヘルスケアアプリ)

http://www.noteworth.com

・事業内容

Noteworthは、病院が依頼する必要項目を計測するKitを患者の自宅に送り、患者は、デバイスで計測したデータをアプリに記録し、医療チームはリモートで患者を管理する事ができる。慢性疾患をターゲットにした遠隔リモートの医療システムを提供している。

注目点

計測デバイスとアプリをセットにして、患者までデリバリーするため、医療関係者はリモートで患者のデータをモニタリングする事ができる。また、デバイスで計測した内容がBluetoothで記録されるため、患者側は手間が要らずに、正確に記録する事ができる。

個人的見解

糖尿病や高血圧などの慢性疾患が今後増えていく可能性がある中で、在宅医療や遠隔でのモニタリングが増えていくと考えられるので、マーケットのニーズに合致するサービスである。アプリを活用した医療デバイスでの計測の記録は今後、注目領域である。

Swift Shift (ヘルスケア x 業務管理)

http://www.swiftshift.com

・事業内容

訪問看護、訪問介護において、介護士や看護師のシフト管理サービスをアプリで提供。

管理者は、シフトを一斉に医療スタッフに送信、シフト希望のスタッフがあれば、管理者は患者に最適な医療スタッフとマッチする。

・注目点

医療スタッフにとって使いやすいUX/UIに拘っている点。

現状の他社のシフト管理システムと比較しても、シフトを決めるまでの時間短縮、訪問逃し、スタッフの定着率も高くなっている。

医療スタッフに対して一斉にシフト管理ができる点はかなり便利な機能である。

・個人的見解

これまでのシフト管理が手元の専用アプリで可能になれば、これまで埋もれていた看護師の活用や、隙間時間でのスポットで仕事に入れるなど、看護師側にもメリットはある。

現状だと、ホワイトボードで管理していたり、Google Calendar上で管理するなどしている業者が多そうなイメージなので、ニッチなところでニーズはありそうか。

Happier (幸せを科学するスタートアップ)

https://happier.com/

・事業内容

Happinessを科学する事で、単なる感情から、幸せになるスキルとしてい捉えている会社。

幸せになるプロセスについて科学的に解明することを試みて、そのプログラムを個人や法人に対して提供している。

・注目点

企業活動と従業員の幸せの感じ方が深く関わっていることを科学的に指摘して、当社はプログラムを提供している。

具体的には、文化を変えること、従業員の成功をサポートすること(より幸せに感じれるほど成功確率は上がる)、レジリエンスを上げる。

・注目点

幸せになることをスキルと捉える発想は面白い。

科学が進歩しているので、どのような要素が要因となって幸せを感じるのか、幸せの科学についても少しずつ解明されていて、いつの日か、テクノロジーや正しいプロセスを持って、幸せに近く日が来るだろう。

企業も、幸せについての研修をする日も近いのではないだろうか。

CareSkore (リスク分析)

http://www.careskore.com

・事業内容

患者の様々なデータ(医療データ、ラボ、個人データ、行動データなど)から将来の発生するリスクを機械学習を活用して予想するシステムを医療関係者に提供。

・注目点

米国では、退院した患者の再入院によるペナルティが医療施設に掛けられるため、病院側は患者のリスクに応じて対処する必要がある。

これまで患者のリスクは、保険会社が医療請求データをもとに算出していたが、CareSkoreは、様々なデータに基づき、個別の患者のリスクを提示する。

医療関係者は、リスクに応じて、電話やメッセージで対処することができるので、リスクを未然に防ぐことが可能となる。

・個人的見解

具体的にどのようなデータを活用しているかということが気になるが、記事などではGoogle MapやGoogle APIからのデータも活用しているとのことで、医療データ以外の個人の行動データからもリスクを予想している模様。

予防分野にも活かせる画期的なサービスと言える。

Aira (ウェアラブルデバイス x ヘルスケア)

https://aira.io 

・事業内容

視覚障害者向けサポートサービスを提供。具体的には、視覚障害者がカメラ付きのメガネを着用し、遠隔でトレーニングされたサポートスタッフが、音声でサポートする仕組み。

・注目点

サポートスタッフは、クライアントの状況をリアルタイムで画像で確認するだけでなく、Google Map上でクライアントがどこにいるのかリアルタイムで確認ができ、クライアントの友人をFacebook友人の画像データから自動認識する事で、認識することも可能。

・個人的見解

クライアントインタビューの声にもあるように、視覚障害者がこれまで以上に独立していると感じることができるサービス。

サポートスタッフがサポートしやすいように技術的なサポートもしっかりされている印象。

まさに課題を解決するスタートアップである。メガネ着用だけと、サービス開始もとてもシンプルである。