経営者になりたい人必見、共通して求められる資質、スキル、マインドとは何か

経営者になりたい人必見、共通して求められる資質、スキル、マインドとは何か

日本を代表とする経営者といえば、稲盛和夫氏、永守重信氏、孫正義氏、柳井正氏などがパッと思いつくだろう。

彼らが名経営者になれたことには何かしらの共通項があるはずだと思い、いやゆる世の中に名経営者と呼ばれる人たちが大切にしてきた要素について抽出してみた。

 

その中でも特に重要な要素をここでは取り上げてみた。カテゴリーとしては、大きく分けて、やり抜く力(GRIT)、PDCA、マインド、戦略思考、組織運営に関わる能力、自己管理能力に分けられる。それぞれ細かくみていこうと思う。

経営者資質:やり抜く力(GRIT)の重要性

どの経営者にも共通する最重要な要素といっても過言ではない。全ての名経営者と呼ばれる人たちは、困難な目標を設定して、輝かしい実績を残している。

彼らに共通する要素として、一番初めに思いつく項目としては、このやり抜く力がある。「やり始める、やり続ける、やり通す」ということを徹底している。

もちろん計画がうまくいかないことは多々あるかもしれないが、最終のゴール、会社のミッションの部分では絶対に軸をブラさずに、登り方を変えながら、目標の達成を目指している。

徹底的にやる、それでダメなら方針転換を考えるという姿勢を持っている。経営者に求められる一番重要な要素として挙げられるのは、このやり抜く力(GRIT)であると考えられる。

名経営者と呼ばれる人たちは、、新市場を作り、事業を前例のない規模まで成長させたなど、これまで誰もやってこなかった偉業を達成してきた。そこには当然困難が伴い、苦しい局面も多々ある。

資金がショートしそうになる、従業員を解雇しなければいけない局面に遭遇する、精神的な疲れがあるが相談できる相手はいない、理想と現実のギャップに悩むなど、苦しい局面は多々ある。

この逆境を乗り越えて、目標に向けて前進できるかどうかが、名経営者とその他を分ける大きな要素となっていると考えられる。

大抵の人は、逆境に直面すると、「もう無理だ」「環境が悪い」「従業員に問題がある」「タイミングが悪かった」など、簡単に諦めるか、もしくは外部環境のせいにして逃げることを選択する。

しかし、名経営者と呼ばれる人たちは違う、そういう局面になっても一切逃げずに全力を尽くす。最終的に目指しているゴールが明確であること、そしてそれは必ず達成できるという自信があるからだ。

では、普通の人がやり抜く力(GRIT)を身に付けるにはどうしたら良いか?

大前提としては、何を目指すか、何をゴールとするかを明確にすることから始まり、具体的に鍛えるには、苦しい局面で踏ん張る経験を積むことに尽きると思う。やり切ったことの回数でGRIT力は鍛えられると考えられる。

体系的にまとめられているお勧めの図書はこちら、GRITに関わる能力を分析して、どうやればGRITが身につくかを提示している。

 

経営者資質:PDCA能力の高さ

次に名経営者に共通する点としては、PDCA能力の高さである。

いくら崇高なミッションやビジョンが有ったとしても、現実的に考えて日銭を稼がなければ会社は潰れてしまう。足元の実行力こそ全てであると言っても過言ではない。

名経営者に共通する点は、多くの経営者が創業者であるという点である。彼らは会社が小さいステージから、会社を大きく成長させてきた、そのため足元の実行力を経験した上で今の大企業と成長させているため、足元のオペレーションの重要さを理解している。

そのオペレーションの秀逸さを体現する概念としてはPDCA能力が考えられる。

目標を設定して、実行し、検証し、次の行動につなげるというサイクルを通じて大きな目標を達成するということである。このサイクルをいかに高速に正しく回すかで、目標達成のスピードは変わってくる。

経営者は、このPDCAの重要さを実際に事業を通じて体得しながら、会社の中の仕組み化として落とし込み、ステージごとの目標を達成してきたと考えられる。

PDCAは目標の大小はあるものの、誰でもが必ず回したことがあるはずである。マラソン大会に出場したいと考えて、目標を設定し、週末に走ることを計画し、実際にタイムを測って目標とのギャップを認識し、計画を再修正するという活動もPDCAである。

しかし、このPDCAが業務となると複雑さが増すため、日々の仕事で生かしている人はあまり多くないのが現状であろう。計画は立てたもののやりっぱなし、計画が雑、行動への落とし込みが中途半端など、要因は様々である。

名経営者と呼ばれる人たちは、PDCAの回し方が高速で、目標達成をしてきた人と言える。

PDCAに関する図書で体系的にまとまっているのは、鬼速PDCAである。これは実践に即したPDCAの回し方を分かりやすく解説しているのでオススメである。

自己管理、感情のコントロール

経営者は、目標達成に向けて愚直に進むことができる合理的な人が多いことが分かった。

彼らがなぜ、そこまで合理的になることができるかというと、合理的な行動を阻害する要因である感情のコントロールが上手いのではないかと考えられる。

感情とは様々な感情があるが、特に彼らがうまくコントロールしている感情は、いわゆる負の感情と呼ばれるもの。

それは、嫉妬、妬み、怒り、焦り、不安、悩み、悲しみ、といった感情である。

感情をコントロールすることがなぜ重要かというと、人は感情に支配されると行動に移せなくなるからである。

多くの人が経験したことがあるかもしれないが、人間関係において感情は常につきものであり、負の感情に支配されたことで、身動きが取れなくなったり、合理的な行動が取れなくなったことはないだろうか。

悩みや不安に支配され、本来やるべきことに集中ができなくなったり、誰かに対する怒りで支配され、冷静な行動ができなくなるなど、感情に支配されてしまうことによるデメリットは数知れない。

名経営者と呼ばれる人たちは、もちろん感情がない訳ではないが、目標を達成する、ミッションに沿ってビジョンを達成するということが第一優先としてあるため、合理的に判断できる、それが感情によって支配される目標を失うことはない。

そういう意味では、自信の目標が何かということを明確化して、合理的に動くためにも、感情のコントロールは経営者にとって必須の能力と言える。

感情のコントロールには、認知行動療法に近い方法として、まずは自分の感情のブレに気づくことが一番手っと早い方法である。

1日の中で、感情のブレがあった時、負の感情が発生した時には、記録を残し、なぜそうなったのか、そしてその感情は目標を達成するために役に立つのかと自分に問う習慣を身に付けることは有益だろう。

経営者に必要なマインド

次は、経営者に必要なマインド、考え方についてである。このマインドがあり、行動を規定するので根本的な部分で重要な要素である。各経営者で細かいマインドの差異はあるものの、少なからず共通点が見えてきたので、そのマインドをご紹介する。

経営者マインド:誰にも負けない努力をする

この点は、特に多くの経営者に見られるマインドである。努力量は自分でコントロールできる要素であり、またその努力量が企業の初期のステージでは特に武器になると気づいている経営者が多い。

資本やブランド力、技術力がない時には、努力量で差別化を図るということが戦略となるのも納得ができる。

もちろん、限られた時間で仕事をこなし生産性をあげるということもあるだろうが、やり方がよく分からない、正解がない複雑な状況においては、手数をこなすことが重要な戦略となり、そのためには努力量がスピードを規定するので、まずはマインドとして圧倒的な努力をすることが重要となってくる。

経営者は、あらゆることに精通しなければいけない、会計、営業、マーケティング、技術、人材マネジメント、いくら時間があっても足りない。そのため、経営者となるからには、誰にも負けない努力をする、それを厭わないというマインドが絶対条件として必要となってくるのだろう。

経営者に必要なマインド成果主義、成果志向

実績が伴わない行為は無駄であることをマインドとして持っている経営者が多い。これは目標達成を最短で実現することを最優先としている経営者であれば当たり前のことであるが、言葉で分かっていてもマインドレベルで深く理解し、行動をしている経営者は限られる。

プロセスや努力量ではなくて成果が上がったかどうかが重要であり、成果が上がっていないのであればそれまでの行動は無駄であったことを明確に意識する必要がある。

組織レベルでも、このマインドが浸透している企業は強い。従業員がこのような経営者マインドを持っていれば、無駄な業務を排除する、具体的な成果を伴う行動を選択するようになり、業績にダイレクトに影響を与えることになるからだ。

徹底した成果志向が経営者に求められる素質としては重要である。

経営者に必要なマインド:強烈な願望を抱く、情熱を抱く

これはGRITにも関わることであるが、名経営者はいずれも強烈な願望や事業に対する情熱を持っていることが分かる。何かを成し遂げたい、目標を達成したいという願望が人一倍強い。

このマインドはスキルのように学習したから身につくものではない、生い立ちや性格の要素も大いに影響している可能性があるが、経営者は誰よりもその事業を通じた理想に対して強烈な願望を抱き、事業に対しての情熱を持っていなければいけない。

それがない経営者は、逆境など何か困難なタイミングで逃げ出すか、事業が成長しない可能性が高い。経営者を目指す人は、なぜ経営者を目指すのか、願望や情熱を持っているかを自問する必要がある。

中途半端な気持ちしかないのなら、経営者にならない方が本人のためでもあるし、それに巻き込まれる可能性のある従業員やステークホルダーのためにもなる。

経営者に必要なマインド:自責思考、責任感

名経営者に共通するマインドとして、自責思考がある。自責思考とは、全てに自分が責任があるという考え方である。

例えば、自分が採用した人材のパフォーマンスがよくなかったという場面を考えみよう。

・他責思考の経営者の場合、考え方

その人の能力に問題があったので仕方がない。
その人の働くモチベーションが低かったから仕方がない。

・自責思考の経営者の場合、考え方

自分のマネジメント方法に問題がある可能性があり、見直す必要がある
働く環境に問題があるのではないか。モチベーションを上げる方法を考えてみる。
自分の仕事の振り方に問題がある可能性はないか。再度すり合わせをする。

さて、これだけみても、他責思考と自責思考では思考の次元が全く異なる。自責思考の人間は、まず責任は自分にあると考え、どうすれば状況がよくなるか、解決案を考えて実行する。

一方他責思考の考え方の人は、外部に原因があると考えるので、思考を止める。すなわちそこから成長はしない。

自責思考の人間が圧倒的に早く成長する可能性があるのは、この例から見ても明からであろう。経営者は常に誰よりも早く成長しなければいけない、そのためには常にどんなことがあろうとも他責思考で言い訳をせず、自責思考で物事を考えて、自分の成長に繋げている。

意思決定力

経営者としての仕事として、主要なものとしては日々の意思決定がある。ここでは意思決定力としたが、正しい情報収集による事実に基づき、本当に重要なものが何かを見極め、最善な意思決定をする力を意思決定力と定義したい。それでは意思決定力の要素としては何があるかをみていく。

意思決定力:状況把握能力

自社がどのような状況に置かれているのか、正しい判断のためには不可欠な能力である。

現場オペレーションはどうなっているか、顧客は何を求めているのか、外部環境はどうなっているのか、競合の状況はどうなっているのか、新たな脅威として考えられるのは何か、時代はどうなっていくか。

経営者は自社に関わること、ならびに自社を取り巻く環境の理解を現在と将来に対して多角的に理解しなければいけない。

そのためには、現場を回ることや、従業員と対話すること、顧客との対話、社外の専門家との意見交換、歴史の理解も必要である。

いかにして正しい意思決定につながる情報を集めてくるか、状況把握能力には、情報収集能力も含まれ、それをどのように解釈するかという洞察力や仮説能力も必要不可欠である。

意思決定力:イシュー思考

イシュー思考とは有名な本である、イシューからはじめよ、の本がよくまとまっているが、意思決定に際してはとても重要な要素の一つである。

 

経営の意思決定においては、限られた時間の中で正しい選択をしなければいけない、この時間の制約があるために、経営における意思決定には取捨選択がつきものである。

その都度、最も考えるべきお題に対して、意思決定しなければ前に進まない、イシューは何かということを考えること、この思考の仕方ができるかどうかで、意思決定の質は大きく左右される。

経営者の意思決定においては最重要な能力といえる。

組織にまつわる考え方

最後に組織にまつわる考え方や要素である。経営は一人ではできない、組織で働く従業員がいて初めて大きなことを成し遂げることができる。組織に関わる要素は、経営者にとっては重要な要素であり、どのように事業が成長していくか、スピードを規定するのも組織運営にまつわる要素が大きく左右する。

組織:オープンなコミニケーションがある組織文化

組織においてオープンなコミニケーションがあるかどうかは今後ますます重要となっていくと思われる。経営者としては、オープンなコミニケーションがある組織文化を醸成することが求められる。

なぜ、オープンなコミニケーションが重要かというと、最善な意思決定をするためである。

最善な意思決定のためには、あらゆる情報が収集されてなければいけない、そして情報は往往にして現場レベルに近い従業員が握っていることが多い。

彼らが情報提供することを躊躇するような組織文化があると、意思決定の精度は下がることは明らかであり、立場を乗り越え、正しい意見を言い合える組織がいかに重要かが分かる。

そして、これからはこのオープンなコミニケーションの重要度は増すと考えられる。

なぜなら、技術の発展に伴いビジネスの状況の変化が激しくなってきているからであり、その変化に最も敏感なのは現場で働いている従業員だからである。彼らの意見を吸い上げ、正しい情報を収集でき、それに基づき最善の意思決定を下せるかどうかが、経営の良し悪しを決めるといっても過言ではない。

したがって、前近代的な明確なヒエラルキーがあり、立場の違いを明確に意識しなければならず、部下は上司に意見も言えないような雰囲気の組織は古く、時代の変化についていけなくなることが予想される。

組織:社員の士気を高める取り組み

これは、オープンなコミニケーションの項目と近いことであるが、企業の力は従業員の力の総和であることを考えると、それぞれ個人がいかに能力を最大限発揮できるかが企業の成長を規定する鍵となることは明確である。

社員一人一人がモチベーション高く、仕事に向かい、一人一人が自分の頭で考えるような組織を作れるかがどうかが経営者として最重要な課題である。

経営者の役割も、時代とともに変化する可能性は高い、これまではトップダウン的な考え方でカリスマ経営者が求められていたが、時代が大きく変わっていく中で、時代の変化に対応するためには、社員一人一人が考えて、意思決定して行動することが求められる。

そうすると、理想的な経営者は、社員の力を最大限発揮できるような組織文化や仕組みを構築して、生き生きと活躍できるような場を提供できる人物となる可能性がある。