無印はなぜ、MUJIホテルを開業するのか、狙いや理由について仮説を立ててみた。

無印はなぜ、MUJIホテルを開業するのか、狙いや理由について仮説を立ててみた。

 

今回は、無印のホテルビジネスへの展開理由について仮説を立ててみたいと思います。

これまで、小売業として日本国内のみならず、グローバルにも展開してきた無印。

なぜ、いきなりホテル事業を始めたのか?その狙いやシナジーについて、考えられる仮説を立ててみたいと思います。

そもそも、MUJI Hotelとは

MUJI HOTEL

上海と北京、銀座に店舗を出しているようです。

室内がどのような感じか、銀座店舗の写真はこちら

無印のミニマリスト、木のぬくもりを感じる素敵な感じのホテルです。

コンセプト

泊まりながら無印良品を楽しんでいただける「MUJI HOTEL」が誕生します。旅や移動は、くらしの一部になりました。旅はいま、非日常から日常に、参加するものからつくるものへと変化しています。MUJI HOTELには、高額で過剰なサービスも、質を削りすぎた殺風景な客室もありません。ちょうどよい価格でよく眠れ、旅先の体と心を整える空間と、宿泊する方と土地を自然とつなげるサービスを用意しました。タオルの手触り、コンセントやスイッチの配置、レストランのメニューの一つひとつが、よい旅の土台でありたいと思います。

出典:MUJI HOTEL サイトより

無印のビジネスモデルを分解してみる

まずは、本業である無印の小売業におけるビジネスモデルを理解することで、真の狙いを理解したいと思います。

ビジネスモデルは典型的な店舗型の小売業と同じです。

似たような企業は、ニトリなどでしょう。それでは売上を分解してみます。

大きくオフラインとオンラインで分けられます。オフラインというのは店舗での売上、オンラインというのはネットからの売上です。

規模としては店舗売上が多そうなので、こちらにまずは着目。

無印の店舗での売上を分解

店舗数 x 店舗当たり売上

店舗数 = 国内店舗+海外店舗

店舗当たり売上 = 購入者数 x 平均購入単価

ここまでは理解できると思います。次に、購入者数にだけ着目してみます。

無印における店舗での購入者数を分解してみる

購入者数 = 総来店者数 x 購入率

総来店者数 = 新規客 + リピート客

リピート客 = ユニーク顧客数 x 平均リピート数

ユニーク顧客数とは、何回来訪していても、一人としてカウントするという意味です。

次に、平均購入単価を分解してみます。

平均購入単価を分解

平均購入単価 = 平均購入点数 x 1点当たり単価

平均購入点数は、来店前からの目的ありの購入か、目的なしの買い物かに分かれると思います。

無印のオンラインでのビジネスを分解

これは一般的なECのビジネスと一緒でしょう。

購入者数 x 一人当たり購入単価

購入者数 = サイトへの来訪者数 x 購入率

サイトへの来訪者数も、新規客とリピート客に分けられることができます。

一人当たり購入単価 = 平均購入点数 x 1点当たり単価

となります。

それでは、無印が売上を上げるためにはどの数字を伸ばせば良いかをみていきます。

店舗数を増やす

これは一番最初に思いつくポイントです。国内だけでなく、海外も含めて、店舗展開の数を増やすことは売上拡大にインパクトを与えます。

平均購入点数を増やす

購入単価を上げるためには、平均購入点数を上げることが重要です。

目的を持って来客してもらうこと以外に、ついで買いで目的なしでも購入してもらうような仕掛けや店舗作りが重要な要素となります。

1点当たりの単価を上げる

当たり前のことですが、重要なポイントです。

無印はこれまで雑貨を多く扱っていましたが、最近では商品も大型に、家具など高額商品にも力を入れています。

ブランド価値を上げてどのようにして高額商品を購入してもらえるかというポイントは重要です。

このポイントはホテル事業とも関わってくるので、後述します。

新規客を増やす

来客数を増やすためには、新規客を増やす必要があります。

例えば日本の場合だと日本人に対する認識はすでに認知度は高そうです。

一方でまだ開拓余地がありそうなのは、外国人。旅行客など、まだ無印のことを知らない人にアプローチするなどの余地はありそうです。

ここもホテル事業と関連性がありそうです。

リピート客のリピート回数を増やす

新規を増やさなくても、リピート回数を増やせればそのぶんだけ購入者数の数を増やすことが可能です。

方法としては、例えば日常的に使用する商品ラインナップを増やすことや、これまで以上に扱う商品を増やして機会創出するなどでしょう。

購入率を上げる

この数字はダイレクトに経営にインパクトを与えるもので、様々な施策が考えられます。

来客数を増やしたところで勝ってもらわないと意味がありません。

どれだけ顧客に欲しいと思わせるか、意思決定をスムーズにしてもらえるか、といった仕掛けが重要となってきます。

何が来訪者にとって、購入に際して障壁となっているのか、その障壁を除くことなどが重要なポイントとなってきます。

また、来訪者にもともと欲しいと思って来客してもらう、目的買いの割合を増やすという点も重要です。

「この商品を知って、欲しいと思った」という来店目的がある顧客の方が購入率が高くなるのは容易に想像が可能です。

このポイントは、商品体験が可能なホテル事業とかなり強い関連性がありそうです。

オンラインでの売上を増やす取り組み

次にオンラインでの売上を増やすための要素を検討していきたいと思います。

基本的な構成要素は同じなのですが、取り組み施策として考えられるポイントは少し異なります。

平均購入点数を増やす

これは、ネット上での販売の場合は例えばセット商品にするとかでしょう。

そのほか、個々の来訪者に対して適切なレコメンデーションができることも、ついで買いを増やす要素となります。

ここら辺は、AIを活用したりパーソナライズの広告を活用するなどして伸ばすことができそうです。

当サイトでも調べて、シルバーエッグテクノロジーが提供している技術なんかはこれに該当します。

関連記事:シルバーエッグ・テクノロジー(3961)事業分析、株価|人工知能、注目小型株

1点当たり単価を増やす

難しいポイントはオンライン上での購入の場合、高価格帯の商品には躊躇してしまうという点でしょう。

例えば家具などは、実際に店舗で見てから買いたいといったニーズが高いでしょう。

ここを回避する取り組みとしては、VRを活用してサイズを理解してもらうとか、フラグシップの店で商品だけ展示してみるとかでしょう。

高額商品に関しては、ミスマッチが発生した時に返品が容易にできるなどの取り組みもありそうです。

品質を理解してもらい、いかにして購入に際しての障壁を下げるかがポイントになります。

オンラインでの新規の客を増やす

これはプローモーションの要素が強いでしょう。いかにして、ネット上の広告から自社のサイトへ流入数を増やすかという点です。

また、店舗とオンラインの連携を進めるという点もありそうです。

例えば、店舗でアプリをダウンロードすれば、割引がつくといった形でアプリへ誘導するとかが該当しそうです。

オンライン上でのリピート客を増やす

これは、アプリやポイントなどを活用することで顧客との接点を増やすなどが施策として考えられそうです。

MUJIホテルビジネスは何がポイントとなるのか

長くなってしまったのですが、ホテルビジネスをすることでのシナジー効果としてありそうなポイントをこれまでのビジネスモデルの分解からピックアップしてみます。

MUJIホテルビジネスによって、購入率を上げることができるから

MUJIホテルの商品は全て無印の商品です。

購入率を上げるためには、いかにして目的買いを増やすか、購入の意思決定において障壁を減らすかというポイントを述べてきました。

MUJIホテルに滞在した客は、すでに無印の商品を体験しています。

すると、実生活での使用を具体的にイメージでき、欲しいと思う確率が高まります。

また、家具などの高額商品などは実際に使ってみないと分からないという購入に際しての障壁が高いです。

このポイントもクリアすることができ、特にオンラインでの購入の障壁もクリアすることができそうです。

購入率を少しでも上げることができれば、売上に対するインパクトはかなり大きいです。

MUJIホテルによって購入単価を引き上げることができるから

さて、このポイントは先ほど述べたポイントとかぶります。

高額商品を販売していかに単価を引き上げるかが重要なポイントとなりますが、そこには情報の非対称性という障壁があります。

MUJIホテルによって体験することができれば、そこを解消でき、家具カテゴリーといった高額商品の購入を促すことができ、単価を引き上げることが可能となります。

MUJIホテルを通してBtoBのビジネスへの参入を目論んでいるから

これは、新規客数を増やすという意味です。

これまで無印はBtoCがメインで店舗展開してきましたが、BtoBに参入ができれば、拡大の余地はかなりあります。

仮説として考えられるのは、例えばMUJIホテルブランドを他社に提供するというモデル。

FC展開に近いのですが、無印はMUJIブランドの看板と部屋の家具一式をセットで販売します。

ホテルのオペレーションのノウハウもセットで提供するかもしれません。

このモデルの優れているポイントは、ホテル開業するたびに高単価の家具一式を販売できるという点です。

そして、ホテルを自社で保有、運用する必要もないので、コストもかかりません。

無印としては、顧客への商品の体験を幅広く提供したいという点ブランドの宣伝にもなるので、かなりのシナジー効果が見込めそうです。

このように考えると、MUJIホテルの戦略はかなり優れた経営戦略であることが伺えます。