離職率を下げる取組み・施策の紹介。退職理由別に考えてみる

離職率を下げる取組み・施策の紹介。退職理由別に考えてみる

今回は、人が会社を辞める、退職理由を掘り下げてみることで、離職率を下げるための取り組みや施策を考えてみました。

人手不足が日本社会全体の課題となる中で、どうすれば優秀な人材を定着させることができるかが、会社の運命を決めてしまうといっても過言ではありません。

会社を辞める結論に至るまでの、考えられる理由を挙げることで、対策の取り方を考えてみたいと思います。

目次

離職する理由はポジティブか、ネガティブか

まず大前提として、会社を辞める理由には大きくポジティブな理由とネガティブな理由があると考えられます。

ポジティブな理由とは、本人のキャリアアップや自己実現のための転職や独立・起業などです。

企業としては、ポジティブな理由の場合は引き留めることはなかなか難しいのが現状でしょう。

特にもともと本人がもともと決めていた夢の実現に近づくようなステップアップの場合は応援することが重要となります。

一方で、キャリアアップとしての転職の場合は、待遇やポジションの見直しをすることで対策を取ることができます。

今回は、全体として多くを占めるであろう、ネガティブな辞める理由を多くピックアップしていきたいと思います。

以下は、会社を辞める、考えられるネガティブな理由です。

「病気」によって離職

病気は、身体的な病気と精神的な病気に大別されます。

身体的な病気の場合、企業側としてはコントロールが効かないことが多いでしょう。

企業としては、療養に優先してもらい、本当に残ってもらいたい人材であればいつでも戻ってこれるような意思表明をすることもできます。

離職率下げる取組み例:精神的な理由は原因の追及を

次に精神的な病気の場合、なぜそうなってしまったのかとポイントについて原因を究明しないといけません。

当人に問題があったからと放置していては同じことが繰り返されるばかりで、もしかしたら今後も同じような人が大量に出てくる可能性もあります。

原因として、仕事内容に問題があったのか、人間関係か、プライベートか、労働時間なのか、考えられる要素を洗い出し、対策を打つ必要があります。

離職率下げる取組み例:特定の人が原因の場合には、対策を講じる

人間関係に問題がある場合には、特定の人が原因になっていないかを探る必要があります。

特定の人が原因の場合には、優秀な人を採用ができたとしても同じ人が原因によって辞めてしまう可能性があります。

人を採用することにはコストがかかります。特に優秀な人材が辞めてしまうことの会社へのインパクトは計り知れません。

その人が居続けることによって生まれた利益が数十億にのぼることだってあります、そのような機会損失を一人の害のある人間によって引き起こされている可能性があるのならば、必ずその人には対策を個別に講じていく必要があるでしょう。

人間関係の原因の追及は難しい

人間関係のトラブルによる精神的な疲労の場合、その原因を追求することは難しいケースが多くあります。

理由としては、辞める人は理由を多くを述べないからです。例えば、家庭の事情や他にやりたいことが見つかったなど、その場限りの理由はいくらでも述べることはできます。

しかし、本音では人間関係によって辞めていくことが多くあります。表面上の理由と本音にはギャップがあるということを理解しておきましょう。

人間関係の場合には、辞める人の周りの人にインタビューをすることが重要です。

インタビューする際には、特定の人に限定せずに、幅広く関わっていた人を相手にする必要があります。

すると、何かしら問題がありそうだなということがうっすら見えてくることがあります。

疲労や燃え尽き症候群による離職

これは病気の一歩手前に近いステータスの場合に考えられる理由です。

ストレスが多い、もしくは労力のかかるプロジェクトや仕事を継続的にアサインされたため、一気に溜まっていた疲労によって爆発してしまうと言うものです。

普段は平静を装っている人がかなり抱え込んでしまっている場合もあり、マネジメントは本音で話せる関係性や普段と違うそぶりがないかなど、しっかりとモニターすることが予防策となります。

そして、過度な労働時間や仕事量が集中してしまっている場合は、その緩和策はないか、積極的な休暇の推奨などの具体的なアクションが必要となります。

離職率下げる取組み例:人事やマネジメントはヒアリングや行動で定期的にモニタリングを

人事は、シグナルを素早くキャッチするために、個々の従業員の残業時間をチェックしたり、従業員インタビューによって、特に疲れが溜まっている人がいないかをヒアリングする必要があります。

経営者としては、プロジェクトが成功すれば、短期的な業績には、プラスになるかもしれないが、長期で見たときに、将来の経営や企業を引っ張る優秀な人材が退職してしまう可能性を考慮して、長期目線で対策を講じる必要があります。

会社に対して将来性を実感できない離職

会社のメンバーは、常に会社が発する様々な情報をキャッチして状態を理解しています。

経営者が、実態を隠していたといても状況が悪い場合はその情報はすぐに従業員はキャッチしてしまい、悪い噂も広まるでしょう。

会社のメンバーからすると、伸びている会社、成長している会社で働いた方が、そうでない企業で働くよりも居心地は良いはずです。

なぜなら、企業が成長すれば、自分たちも成長できるし、仕事の幅が増え、待遇も良くなることが見込めるからです。

そもそも企業経営に問題がある場合には、経営者の戦略や目標設定に問題があるでしょう。

そうでない場合は、経営者の情報提供が不足していることが考えられます。

離職率下げる取組み例:マネジメントや経営者は積極的な情報共有を

企業としてどの方向に向かっているのか、と言うことが従業員が理解できないと、不安になってしまうのも仕方がありません。

経営者としては、企業としての方向性や現状について、包み隠さず会社のメンバーと共有する姿勢が極めて重要となってきます。

状況が悪化している場合は、素直にそれを開示することも解決策として考えられます。

それによって従業員が状況を理解して、頑張ってくれる可能性もあり、それが難しいと思う中途半端な人は自主的に去っていってくれるかもしれません。

経営者は積極的に会社の方向性、ミッションやビジョン、戦略、現状について会社メンバーに発信する機会を持つ必要があります。

これが人材の流出や離職を防ぐ予防策となってくるでしょう。

「人」が離職の原因となる場合

根本を突き詰めていけば、最終的に行き着くポイントとして人間関係に行き着くケースは多々あると思います。

職場の良好な人間関係によって、辞めるか、継続してくれるかといったことも予測できてしまうのではないでしょうか。

もちろん、それぞれの個々人によって理想の人間関係は異なるでしょう。

例えば、濃い関係性が好きな人はランチも夜の飲み会も多い方が良いと考えるし、そうでない人は、それぞれの関係性は希薄な方が居心地が良いと感じるでしょう。

離職率下げる取組み例:原因の対象は誰かを特定する

次に関係性の対象が誰かという点もポイントです。それが経営者なのか、上司なのか、同僚なのか、部下との関係性なのかで問題の本質は変わってきます。

例えば、経営者との関係性が希薄で仕事の方向性が理解できないとか、上司とのコミニケーションに問題がある場合なども考えられます。

今回は特に、職場で影響力がありそうな上司との関係について集中的に検証していきたいと思います。

上司とのコミニケーションの量に問題がある場合

上司との人間関係を紐解いてみると、相性や価値観、コミニケーションが関係してくるでしょう。

相性や価値観といったものはなかなか変えることが困難なものであり、比較的に予防策の取りやすいコミニケーションについて考えていきます。

コミニケーションの量とは、上司との1対1の面談頻度が少ないということが原因として考えられます。

1対1の面談の目的は、部下のための面談であるということで、上司は部下の悩みや課題などを洗いざらい聞きアドバイスを提供することが求められます。

コーチのような役割を上司が持つということです。

離職率下げる取組み例:会話の量は多すぎないか確認する

次に会話の全体的な量にも問題があるかもしれません。

仕事の話はもちろん、プライベートなちょっとした会話も、関係性を強化するためには重要な要素となります。

気兼ねなく話すことができる、信頼のできる関係性を構築できるかが、部下の離職リスクを下げる有効策と考えることができます。

また、上司は自分が話しすぎていないか、部下の話に耳を傾けているのか、現状の話している量の比率を出してみましょう。

上司8割、部下2割のコミュニケーション量であれば、それは問題であることを認識しましょう。最低限、50%ずつ、理想は、部下が多くを話すような関係性の方がベターです。

上司とのコミニケーションの質に問題がある

次にコミニケーションの質についてです。

いくらコミニケーションの量を多くしたからって、無意味なアドバイスや他愛のない会話を増やしたからって、部下のためにはなりません。

部下としては、自分が成長できるため、業績を上げるための的確なアドバイスを求めているでしょう。

離職率下げる取組み例:上司の問題解決能力を育成

そういう意味では、上司にはコミニケーション能力以外にも、問題解決能力が求められます。

部下が悩んでいる課題の本質的な原因はどこにあるのか、どのように考えれば良いのか、アドバイスを送れば良いのかといった点を理解している必要があります。

この点、上司はビジネスマンとしてのスキルや経験、そしてコーチングのスキルを身につける必要があるでしょう。

もし不足しているのであれば、自分で身につけるか、研修を通じて体得していくしかありません。

職場に尊敬できる人がいないことによる離職

職場に尊敬できる人がいないのは、本人が経験を通じて成長してしまったからか、もともと優秀な人がいない場合のどちらかでしょう。

この場合の対応策として、役割やチーム、配属替えなどで新たな刺激を与えることでしょう。

もっと優秀なメンバーがいるチームに配属させることで、新たな刺激が得られ、離職リスクを下げることができます。

離職率下げる取組み例:人材をデータベースとして分類

そのほかの対策としては、会社の優秀な人材、見込みのある人材、尊敬を集める人材と、そうでない、むしろ足を引っ張るような人材を見極めて、データベース化することでしょう。

なるべく優秀な人材には優秀な人材を付き合わせ、そうでない人はなるべく接点を持たせないようにする必要があります。

2割・8割の法則

有名な理論として、会社の20%の人材が全体売上の80%を生み出しているという理論があります。

20%の人材には、特に気を遣い、悪影響を及ぼす80%の人材とは異なる施策を講じないといけません。

ここはシビアなのですが、リソース配分と企業経営を考えた時には避けて通れない部分です。

成長を実感不足による離職

なぜ成長を実感できなくなってしまっているのか、それを考える必要があります。

業務内容がマンネリ化しているのか、新たな学びがないのか、チャレンジングな目標設定ができていないのか。

その原因を追求して、対策を講じる必要があります。

参考:仕事で圧倒的に成長する方法は、全てトレーニングの原則から学べる

特に優秀な人材の場合は、一定期間が経つと一定のスキルを体得して、業務をこなせるようになってきます。

すると、新たな刺激が減ってきて面白みを感じない、成長を実感できなくなってきます。

離職率下げる取組み例:成長機会を常に与え続ける

このような場合は、新たなチャレンジングな目標を本人に設定させるか、プロジェクトを変える、配属チームを変えるなどして、数多くの成長機会を提供する必要があります。

本当に会社に残しておきたい優秀な人材の場合は、常に成長機会を提供させるために、チャレンジングな目標や役割を提供し続けなければいけません。

それは経営者の役割であるし、人事も優秀な人材のモチベーションの変化に目を光らせる必要があります。

仕事内容そのものがつまらないから

仕事内容がつまらないというのも離職理由の一つとして考えられます。

なぜ、仕事内容がつまらないと感じるのか?

このポイントを考えてみる必要があります。

・仕事内容に創造性がないから
・自分の仕事が役に立っていると実感できないから
・会社の方向性と自分の仕事がリンクしているか分からないから
・周りから感謝される、認められることがないから
・仕事内容が個人でチームの一体感がないから
・自分が得意としている仕事内容ではないから

など様々な理由があると思います。

しかし、それらの理由を追求することができれば、対策を講じることができます。

離職率下げる取組み例:仕事に自由度を持たせる

目標設定や方法論について主体的に考えてもらい、自由度を持たせる。業務の20%を自主的なプロジェクトに参加させる(Googleのように)

離職率下げる取組み例:会社の目標と個人の目標を紐付ける

自分の仕事がどのように全体と連動しているかを分からせるための、ジョブクラフティングをする。会社の目標と個人の目標を紐づける作業をする。

離職率下げる取組み例:社員同士の感謝をする機会を設ける

マネジメントは、面談を通して感謝を示す。全社的に、ここの社員同士で感謝をする機会を設ける。

職場での居心地が悪いから

これは、なかなか明確に言語化できない理由ですが、なんとなく居心地が悪かったり、会社に行きたくないと思ってしまう原因となっています。

要因としては、これまで述べてきた理由が複雑に絡み合っているケースもあるので、一概に1対1に原因と結果が対応していません。

その中でもいくつか理由として考えられるものがあるのでピックアップしていきたいと思います。

以下、居心地の悪さを感じてしまう原因についてピックアップしていきます。

会社への貢献が感じられないから

会社が求めている期待値と本人の能力にミスマッチが生じている場合があります。

このような場合は、会社として本人に正直に伝える義務があります。

それによって改善されないのであれば、その人は会社から去り、より貢献できるところで能力を発揮した方が幸せになります。

離職率下げる取組み例:会社の目標と個人の目標を紐付ける

一方で、もっと能力を発揮できる領域が社内にあるのであれば、配置転換が重要な施策となります。

もしも、本人の能力ではなくモチベーションによる問題であれば、モチベーションが下がっている原因について追求する必要があります。

それが、仕事量が多すぎるからなのか、人間関係なのか、それ以外のプライベートな理由なのか。

もしモチベーションに関しても改善の余地がないのであれば、その人に居心地の悪さを感じてもらい、去ってもらうしかありません。

組織文化とのミスマッチ

企業がどのような組織文化なのかは、経営者にとっては言語化をして、モニターする必要があります。

それぞれの企業には文化があります。日本とアメリカで文化が違うように、企業によっても様々な文化があります。

文化を形成するのは、そこで働いている人ですし、初期的には経営者の方針やどの業界で活動しているかも影響するでしょう。

離職率下げる取組み例:組織文化の抜本的見直し

もし、本来あるべき組織文化ではない状態に不満を感じて、退職してしまっている場合は、組織文化の抜本的な見直しが必要となります。

その悪しき組織文化を作っている人を特定して、辞めてもらうか、改善を促す必要があります。

些細なことなのですが、特定の一人が与える影響は実は大きかったりします。

なぜ、そのような文化が形成されているのか、どこに原因がありそうかということを検証して、改善していくしかありません。

組織文化が理想の状態にあるにも関わらず、本人が合わないというならば、それは会社を去るか、自分が会社に合わせていくしかありません。

仕事の進め方、やり方が違うから

これも組織文化にも近しいものなのですが、企業によって仕事の進め方は異なります。

それぞれの企業にとって経験から生み出された手法や価値観があって、仕事の進め方が決まっている場合があります。

本質的に間違っている場合は、正す必要があるのですが、それによって円滑に企業活動が進むのであれば、変わる必要がありません。

むしろそれに適応できない人に問題がある可能性もあります。

この点については、おかしな点があるならば現場から声を上げてもらい改善する姿勢が重要となってきます。

昔からそのような方法だからといって片付けてしまっていては生産性は上がりません。

離職率下げる取組み例:多様性を受け入れる文化の構築

これは組織文化に近い理由です。どのような人が多く働いているかは重要なポイントとなります。

類は友を呼ぶではないですが、企業に合いそうな人を採用するので、組織内における同質化は避けられません。

企業にとっては、同質化、同じ価値観のもとに動いてもらった方が効率は良いのです。

もし、それでも一緒に働いている人との違和感を感じてしまう場合は、その人たちを変えるわけにはいかないので、受け入れるしかありません。

ここでの問題は、多様性を受け入れる文化があるかどうかでしょう。

同質化は避けられないと思いますが、その中でも価値観の押し付けや文化の強要が組織の中で起こっていないかはチェックするべきポイントでしょう。

そうすれば、同質化できない、違和感を感じる人でも組織に居続けることができます。

もし、そのような違和感をとびきり優秀な人材が感じている場合は注意が必要なポイントとなります。

離職率下げる取組み例:給与・待遇の改善

実は離職の理由の結構な割合を占めているのが、「給与・待遇」ということです。

待遇は、多くの従業員にとっては、最重要な項目です。ここが改善されない、よくならないことによる不満から離職をすることは大きいでしょう。

経営者やマネジメントとしては、成果と報酬がリンクするような形での定期的な待遇改善や、優秀な人材(特に残って欲しい人材)に関しては、給与・待遇の積極的な改善を実施していきましょう。

考え方としては、給与・待遇の改善はあまり実施しない方がコスト削減にはなるのですが、離職してしまうことのコストやデメリットの方が大きいことが多いです。

採用コストやその人が生み出してきた価値、そして今後生み出してくれる可能性の価値を換算して総合的に判断する必要があります。

給与・待遇の改善について、従業員は直接的に言わないことが多い

また、給与・待遇の改善に関して、従業員は自ら提案してくるケースは少ないです。

どのように伝えて良いのかわからない、伝えることによって嫌な思いをされるのではないか、など感情的に伝えづらいということが原因です。

したがって、経営者やマネジメントは、評価と待遇・給与に関してルールを決めるなど、見直すきっかけを定期的に持つ必要があるでしょう。

その他コントロールできない事情によって離職

これは例えば、家族の介護や家業を継ぐ場合、家族の転勤などが考えられます。

これらは止むを得ない理由なのですが、企業として本当に残ってもらいたい人材であれば、妥協案を見つける努力が必要です。

例えば、業務委託という形態にしてリモートで決まった時間働いてもらったり、休職という形にして、いつでも復帰できる状態にするなどです。

継続的な施策の実行と振り返りで、効果を上げていく

以上、離職理由として考えられるものを検討してみました。

このように原因を分析してみると、それぞれに対応した対策方法が浮かび上がってきます。

組織運営や人事、モチベーション管理、目標設定なども科学ができる分野であり、企業にとってはかなり重要な分野なので目を向ける必要があるでしょう。

単純に離職の理由は、一つであるとは限りません。多くの場合は複数の要素などが絡み合っていることを理解しましょう。

また、離職者の口頭での理由や周りの人からのヒアリングには、情報の偏りや本音でない可能性も念頭においておく必要があります。

本人も気付いていない理由によって離職する場合があります。

そのような前提を理解した上で、相対的に原因と考えられるものの仮説に基づいて施策を実行してみて、結果を検証していくしか方法はないでしょう。