レイ・ダリオの本 Principles: Life and Work (人生と仕事における原理)

レイ・ダリオの本 Principles: Life and Work (人生と仕事における原理)

今回は、レイ・ダリオ著、Principles Life and Workの感想をまとめてみたい。

著書はまだ翻訳がされておらず、英語で書かれている長編なので、なかなか取っ付きにくいが一読の価値はある。

レイ・ダリオ氏を知らない人がいるかもしれないが、世界最大のファンド、ブリッジ・ウォーターを設立した創業者である。

著書はタイトルの通り、彼のこれまでの人生の経験からPrinciples(原理)を抽出して紹介している。

ここまで全ての事象を抽象化して原理まで纏め上げている人は、レイ・ダリオ氏以外にいないのではないかと思うほど、膨大な原理がこの本には散りばめられている。

それでは、私が読んでいて、特に気になった点について紹介していこうと思う。気になる人はぜひ読んでいただきたい、英語も難しい単語は特にないので、英語の勉強にもなる。


現実を正確に捉えるため、オープンマインドの重要性

特に印象的だったのが、とにかくレイ・ダリオ氏の考え方が合理的という点。

特に現実を正確に捉えるという点に関しては、特に注意をしている。

現実を上手く捉えるためには、オープンマインドの重要性を指摘。

この点は、とても難しい。誰しもが弱みを持っているし、プライドもある。また、どうしても抜けている視点があるものである。

関連記事:高いプライドを持つことメリット、デメリット。プライドは必要か、捨てるべきか。

例えば、自分の弱みを指摘された時に、素直に受け入れられることができるだろうか?

自然の反応としては、弱みを指摘した人に対しての嫌悪感だったり、否定などネガティブな感情が伴ってしまう。

しかし、レイ・ダリオ氏は、現実を正確に捉えることで成長が促せる点を強く指摘。それこそが個人の進化、組織の進化につながると強く信じているのだろう。

組織における正直・透明性の重要性

言葉では理解できるし、多くの組織がこの正直・透明性を掲げているが、ブリッジウォーターほど、その点を仕組み化して徹底しているケースは稀ではないかと思う。

著書の中でも、真実を知ることの重要性を強調しており、短期的には衝突が生じることがあるかもしれないが、長期的に良い結果を求めれるためには、それは避けられないものしている。

そのため、自分の意見を述べること、反対をすることは常に推奨され、義務とまで考えられている。

悪いことを隠すのではなく、シェアするような透明性も組織の成長には不可欠であり、徹底した透明性を追求する組織文化を形成する重要性を主張している。

この点、日本企業の場合はなかなか難しいことが多いのではないだろうか。

年功序列、個人よりも組織を重んじる文化の中では、個人の意見を強く主張することはなかなかハードルが高い。

会議の場でも、ポジションの高い人が発言の大半を占め、その他は黙っているケースを私自身も何度も遭遇した。

しかし、正しい意思決定においては、全ての有益な情報は欠かせない、反対意見などはその漏れを無くし、たとえ間違っていたとしても高い意思決定のためには必要不可欠なものと考えられる。

そういった組織にするためには、やはり、正直・透明性を推奨し、実行につながる仕組みがある、組織を構築するしかないのではないだろうか。

従業員の接し方

これは、外資系の会社では意外だったが、レイ・ダリオ氏は、社員を家族のように接していることがよく分かった。

外資系やファンドの印象だと、人を直ぐに切る印象があったが、それとは少し違った印象を持つことができる。

しかし、大前提としては責任を明確にした上で、家族のように接しているという点である。

従業員同士の集まりも大切にしている姿勢がある。

ただし、個人の能力が足りない場合や、ルールに従えない、理念に沿わない場合は、去ってもらうことを良しとしているようだ。

従業員の接し方も、とても合理的。

組織をマシーンと捉えた場合には、人とデザインの二つの側面でしかないので、人を大切にする姿勢は当たり前のことだし、能力に問題があれば、配置換えや退職の方が、本人にとっても企業にとっても長期でメリットはある。

この点、透明性の重要性にも触れている、透明性があれば、組織・コミニティを悪く思う人が表面化するため、除外することができるとも語られている。

採用活動に関して

採用に関しての大前提は、個人の利益を優先するような考え方の人よりも、組織のシステムを優先する人を優先するという考え方である。

個よりも組織を優先する考え方が明確に分かる。

そのため、人を見るときには、Value, Ability, Skillsの3つの要素があるうちの特に、Value、何に対して重きを置くか(価値観)を理解することを重要視している。

その他、採用活動に関しての細かい方法についても書かれている。

例えば、採用活動自体をいかにシステマチックにするか、面談時にストレステストを兼ねて難しい実態を予め伝えておくなどである。

個人の成長に関して

普遍的なものとして、個人の能力とコアバリューが挙げられている、この2点は変えることが難しいので、向いていない仕事であれば、配置転換や退職などを勧める。

弱さの指摘は、個人の成長、進化につながることを強く強調している。

弱さをどのように克服するかを組織の中でも、仕組み化している。

ただし、弱みを素直に受け入れるためにはある程度の時間が必要とも書かれている、人間の自然の反応として素直には受け入れ難いもの。

この点、個人的にはシビアだなと感じた。

学びで解決できる問題に関しては、経験やトレーニングで対処は可能だが、能力に問題があったら、それはどうしようもないものであると。

人それぞれ得意、不得意はあるものだということがベースとしての考え方なのであろう。

短期的に、能力不足と明確に分かった従業員は、受け入れ難いものかもしれないが、それによって向いていない仕事を続けるよりは、本人にとってもメリットはかなり大きいのかもしれない。

翻って日本の場合は、長期雇用、労働者の保護が大前提なので、能力不足であっても、解雇するケースはほとんどないのではないだろうか。

また、本人も能力不足であることを知らされることも、直接的にはない可能性がある。

やんわりと影で能力不足の評価をされ、仕事量を減らされるか、知らず識らずのうちに業務内容が変わっていたりする。

この点、本人に気を遣った、衝突を避けたいという姿勢なのかが分からないが、正直や透明性はあまりないと言える。

関連記事:自己成長するためには何が必要か。筋トレから自己成長のヒントを得る

組織をマシーンと捉える。組織を構成する要素は「人」と「デザイン」

この点、色々な要素を削ぎ落として抽象化しているが、すごく分かりやすい。

組織をマシーンと捉えれば、素晴らしいマネージャーは組織エンジニア的なスキルを持っていると記載されている。

人とは、すなわち組織で働いている人、その人がどのような人なのか、しっかりワークしているかの把握。

常に最適な状態をキープすること。デザインとはすなわち組織を動かしている仕組み。

組織をこのように捉えると、改めて「人」の重要性を認識することができる。

そしてマシーンのパーツとしての「人」「デザイン」がワークしているかどうか、異常はないかを確認するための、数値化も重要な点であることに納得がいく。

レイ・ダリオ氏が、働く人を理解することに様々な方法で重点を置くことが理解できる。

最後に

日本語版が出る前に私は英語版を読んで個人的に気になった点をまとめてみた。

私の文章力、英語力の問題で上手くお伝えすることができないが、これはほんの一部でしかなく、目の前の仕事の参考になるような有益な情報があると思うので、興味があれば、ぜひ読んでみてください。

追記:待望の日本語版がついに出てました、私自身、英語版を読んだあとで日本語版で確認してみたいと思います。


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Principles: Life and Work

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