EC、決済事業を展開、ラクーン HD(3031)、株価、業績、成長可能性

EC、決済事業を展開、ラクーン HD(3031)、株価、業績、成長可能性

本記事では、EC事業や決済事業を展開するラクーン HD(3031)の業績、売上高等を分析、考察しています。

以前から気になっていてウォッチしていた銘柄ですが、最近は株価が高騰してしまい、小型株とは言えない水準にまで成長しております。

まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。

株価関連情報

(調査日時:2021/1/4)

時価総額:381億円

PER(予):84.66倍

PBR:6.8倍

以前ウォッチしていた際には、時価総額が200億円前後だったのですが、高騰しています。

売上高推移

(単位:百万円)

2016年:2,229

2017年:2,359

2018年:2,546

2019年:2,980

2020年:3,477

売上高は綺麗に成長しています。2016〜2018までは一桁成長でしたが、2019年には、17%、2020年には16%と二桁成長しています。

営業利益推移

(単位:百万円)

2016年:393

2017年:420

2018年:437

2019年:548

2020年:706

営業利益も同様に右肩上がりで成長。2019年、2020年の成長率は25%、28%とこちらも売上同様、高い成長率を示しています。

当期利益推移

(単位:百万円)

2016年:239

2017年:255

2018年:282

2019年:379

2020年:451

当期利益も右肩上がりで成長しています。2018年から2019年への飛躍が強い印象です。

ROE推移

(単位:%)

2016年:13.4

2017年:13.4

2018年:13.2

2019年:14.1

2020年:11.3

ROEも13%近辺で、高い水準でしょう。

有利子負債推移

(単位:百万円)

2016年:125

2017年:75

2018年:25

2019年:2,275

2020年:4,403

有利子負債に関しては、2019〜2020年度に借り入れを実施しているため、大幅に増えています。2020年には、短期借入金を約26億円増やしています。コロナの影響なのか気になるところではあります。

現金等推移

(単位:百万円)

2016年:1,858

2017年:1,992

2018年:2,155

2019年:2,323

2020年:6,634

現金は、大きく借り入れする前は、21億円に対して、有利子負債がほとんどなかったのですが、現在は、66億円に対して、44億円の有利子負債という比率。借入が必要なビジネスなのか、検証する必要がありそうです。

キャッシュフロー推移

営業活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:398

2017年:469

2018年:374

2019年:-569

2020年:1,768

2019年に営業活動のキャッシュフローがマイナスになっている点は気になりますが、2020年には大きくプラスとなっています。平均すると約600百万円のプラスなので、入金の時期の遅れなのかもしれません。

投資活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-102

2017年:-153

2018年:-97

2019年:-1,679

2020年:-427

2019年に大きな投資をしている様子です。2018年以前は特に投資が必要なビジネスモデルではなさそうです。

財務活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-81

2017年:-180

2018年:-113

2019年:2,416

2020年:2,969

これは有利子負債残高が積み上がっているものと同じ傾向が見られます。

フリーキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:296

2017年:315

2018年:276

2019年:-2,248

2020年:1,340

フリーキャッシュフローは、2019年は投資の影響でだいぶ落ち込んだ模様ですが、2020年にはプラスとなっています。2018年以前はプラスで推移していますが、それでも3億円前後と、大きくはありません。

事業内容

EC事業、決済事業、保証事業の3つを展開しています。「企業間取引における新しいインフラ提供し、創造します」と大きなメッセージが書かれています。

企業間取引ということで、BtoBの領域、かつ日々膨大な取引がなされている分野で、インフラを目指すということからも、プラットフォーム的な、日々の業務において、無くてはならない存在を目指しているのでしょう。

目指しているものは大きいと考えられます。それぞれの事業を少しずつ見ていきましょう。

EC事業

スーパーデリバリー、SD Exportという二つのサービスを展開しています。

スーパーデリバリー

スーパーデリバリーとは、メーカーと事業者間の取引をWEB上で行うための仕組みを提供しています。メーカーとは、主に、アパレルや雑貨メーカーで、事業者は、小売店、飲食店、美容室などです。

ここで解決できる課題などは、詳細ページを見てもらいたいですが、いくつかの課題を解決できるサービスとなています。

【メーカー視点の課題】

・小規模な事業者との取引は、リスクが伴うこと(与信がない)
・代金回収ができるかが不安

【事業者】

・様々なメーカーを0から探すのは大変

・実績がないと取引ができない

上記のような双方向の課題を解決する仕組みを提供しています。スーパーデリバリーが商流の間に入ることで、メーカーの代金回収リスクや与信判断を代わりに行ってくれます。また事業者にとっても、様々なメーカーが集まるプラットフォームを提供することで、探す手間が減ります。

SD export

SD exportは、上記スーパーデリバリーとビジネスモデルは似ていますが、事業者が国内事業者ではなく、海外事業者という違いがあります。国内の出展企業は、海外事業者に商品を輸出販売すること可能になるというサービスです。

海外事業者とのやりとりは、国内事業者以上の煩雑さがつきまといます。例えば、税関への書類の提出や海外事業者とのやりとりです。これらは想像するだけで大変ということは理解ができるでしょう。

それら煩雑な手続きを、SD exportを活用すれば、簡略化されるということです。国内出展企業は、基本的にはスーパーデリバリーの倉庫に商品を発送するだけということです。

決済事業

決済事業では、Paidというサービスを展開しています。請求業務の代行及び、後払い決済サービスということで紹介されています。

Paid

事業サイトを見ると、非常によく分かりやすいです。商売には、買い手と売り手がおり、常に取引をするたびには、請求の発行業務と支払い、未入金の確認と催促というプロセスが発生します。

特に買い手側の負担としては、日々の請求書の発行や送付、そして未入金がないかの確認、及び未入金があれば催促をしなければいけないことがあります。

また、常に入金が確実に取れるかというとそういう訳ではなく、売り手の事業の状況によっては、資金が回収できないというリスクにも常にさらされています。

そのような買い手における課題を解決する仕組みとして、Paidがあるのでしょう。

具体的なサービスについては、会社HPを見ていただければと思いますが、請求業務からの解放、支払いの遅延や未入金リスクからの解放ということが実現できると記載があり、これが実現できるのであれば、買い手企業にとっては大変魅力的なサービスと言えるでしょう。

保証事業

保証事業において、3つの事業を展開しております。基本的には、売掛取引のリスクを保証する事業を展開しています。

T&G売掛保証

事業サイトをみると、詳細が理解できます。企業側は、取引先を登録して、審査のプロセスを経て、一定の保証料を支払うことで、取引先の倒産リスクや支払い遅延リスクを無くすことができます。事業モデルとしては一般的な保証事業という内容です。

1社からでも対応してくれる導入のしやすさで、導入企業数も右肩上がりで増えている模様です。(参考ページ

URIHO

URIHOは基本的なビジネスモデルは上記のT&G売掛保証と変わらないのですが、月額利用料を支払うだけで、好きなだけ何社でも保証が可能という点に特徴があります。手続きもネット完結ということで、他社が書類でやっているところも多いそうなので、便利なのでしょう。もちろん、保証ができるかどうかは審査があるので、全く無制限に保証という訳ではありません。

導入実績のページには、保証事業全体での導入数や内訳が書かれています。建設、アパレル、製造業、食品・飲料卸、建材卸、建築業で過半数以上を占めています。建設業関連の市場のシェアが高いことが理解できます。

ラクーンレント

ラクーンレントは、売掛保証とは異なり、家賃保証における事業展開となります。家賃保証業を展開している企業は、上場企業でもパッといくつか思いつくので、競合優位性がどこにあるかなど気になるところではあります。

考察と今後

事業内容については、EC事業や保証、決済事業など、インターネット領域における商取引の効率化を支援している企業ということが理解できます。

特に新型コロナの影響で、オンライン化が意識されてから、当社にとっては追い風となっていると予想されます。

スーパーデリバリーに関しては、出展企業数の増加、買い手となる事業者が増加すれば、プラットフォームとしての魅力度が増すという相乗効果もあるため、面白いビジネスモデルだと考えられます。EC事業の売上高の推移を見ても、新型コロナウィルス前後で明らかに成長曲線が変わっています。

保証事業に関しても、これまで保証自体を受けにくかった規模感の企業も含めて、ネット上で完結でき、簡単に導入ができるということで、成長が見込まれる領域でしょう。

直近の決算説明動画には、スーパーデリバリーの売上高の構成の内訳や、新型コロナウィルスの影響について分かりやすく説明されているので、一見の価値はあります。

また、出展企業の料金体系の変更を通じた利用企業の促進なども模索しています。

新型コロナウィルスを良いきっかけとして当社のサービスの認知度や利用は明らかに成長しているので、今後平常時になった際にも、今の成長を維持できるのか、それとも利用者の行動に変化が起こるのかなど注視する必要がありそうです。

参考記事:【まとめ】小型、成長株のおすすめスクリーニング方法、実践編
参考記事:小型成長株、銘柄一覧【注目の新興銘柄40社を独自調査】

※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。