業界特化のSaaS銘柄、プロパティデータバンク(4389)、事業内容、業績分析、成長可能性

業界特化のSaaS銘柄、プロパティデータバンク(4389)、事業内容、業績分析、成長可能性

不動産業界特化型のSaaS銘柄として、注目していた企業です。DX関連としてもテーマ性は持っているでしょう。

それではいつも通り、まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。

客観的な数字をみるのは、あえて事業内容をみる前に、数字で判断するという意味もあります。

株価関連情報

(調査日時:2021/1/4)

時価総額:108億円

PER(予):42.44倍

PBR:5.58倍

客観的に考えれば、株価の水準は割高と言えるでしょう。一方で、SaaS関連銘柄の場合には、PERは割高になりやすいため、SaaS銘柄比較でいくと、PSRという売上高と株価の比較をする場合があります。PSRでいくと、6倍なので、一般的なSaaS銘柄の平均値と言われる10よりかなり低い水準となります。

時価総額が100億円程度なので、そもそも規模が小さいというのもポイントの一つです。

売上高推移

(単位:百万円)

2016年:1,130

2017年:1,081

2018年:1,239

2019年:1,617

2020年:1,844

順調に増えています。特に2018→2019年で大幅に増やしています。年度によって変動があるのは気になる点ですが、これはビジネスモデルに特徴があるからでしょう。大口の契約によって一気に売上高が増えるモデルと考えられます。

一般的なSaaS銘柄は、綺麗な右肩上がりを描くのですが、対象としている顧客のビジネスの規模によって変わってくることがあります。

営業利益推移

(単位:百万円)

2016年:173

2017年:141

2018年:236

2019年:302

2020年:318

営業利益も、順調に増えています。ここは継続的な投資をしている場合には、一定の水準を維持していると考えられます。

当期利益推移

(単位:百万円)

2016年:113

2017年:90

2018年:145

2019年:209

2020年:217

当期利益も同様です。一定の利益は出しつつ、投資を継続しているのかと思われます。現在は、刈り取りのフェーズというよりは、投資フェーズなのかと。

ROE推移

(単位:%)

2016年:13.4

2017年:9.6

2018年:13.4

2019年:11.9

2020年:11.4

ROEは10%前後です。思ったよりも高くないというのが率直な感想です。ここは利益が生まれる体質やフェーズになれば改善されていくと考えられます。

有利子負債推移

(単位:百万円)

2016年:-

2017年:-

2018年:-

2019年:-

2020年:-

有利子負債は、アセットライトなビジネスなので、特にないです。これはGood。

現金等推移

(単位:百万円)

2016年:456

2017年:476

2018年:617

2019年:1,052

2020年:934

企業規模に対して、現金も潤沢にあります。

キャッシュフロー推移

営業活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:347

2017年:203

2018年:329

2019年:207

2020年:286

営業CFは常にポジティブなので、良い傾向でしょう。ただ、右肩上がりに営業キャッシュフローが増えていないので、年度によってブレがあるのかなと、大口の契約などでキャッシュインのタイミングがズレることもあるのかもしれません。

投資活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-183

2017年:-178

2018年:-185

2019年:-218

2020年:-314

2020年に投資の金額を増やしています。ここは規律を保ちながら投資活動をしている印象です。

財務活動のキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:-5

2017年:-4

2018年:-3

2019年:445

2020年:-89

特に借り入れも必要ないビジネスモデルなので、大きな動きはなさそうです。

フリーキャッシュフロー

(単位:百万円)

2016年:164

2017年:25

2018年:144

2019年:-11

2020年:-27

フリーキャッシュフローは常にポジティブというよりは、マイナスになりすぎない水準で投資活動を行っているという印象でしょう。利益が生まれたものに関しては積極的に投資をしているフェーズなのでしょう。

事業内容

No.1 不動産管理クラウドSaaSと会社HPの記載のある通り、不動産管理ツールを不動産関連企業に提供する事業を展開しています。

SaaSと呼ばれる、Software as a serviceの略で、ネットワークを通して、顧客にソフトウェアサービスを提供する事業モデルです。

@プロパティと呼ばれるサービス名で事業展開をしています。

@プロパティのサービス内容とは

@プロパティのサービスラインナップページを見ると、不動産管理業務をトータルでサポートする不動産管理エディションや、その他の特定の利用用途別のエディションに分かれています。

不動産管理業務をトータルでサポートするケースとしては、導入事例にもある日本生命、東京海上など、不動産を多く保有する大企業向けに導入されている模様です。

特定業種向けとしては、不動産ファンドなど向けのAMエディション、不動産管理会社向けのPMエディション、ビル管理会社など向けのFMエディション、企業不動産向けのCREエディション、官公庁、自治体向けのPREエディションなどがあります。

サービスラインナップを見れば、不動産管理と一言に言っても、対象としている業界やお客様が誰なのかを把握することができます。

不動産管理エディションの機能

サービス概要ページを見ると、6つのパッケージと、様々なオプション機能によってトータルサポートすると記載があります。

具体的には、以下の6つです。(パッケージは省略)

資産基本情報
プロパティマネジメント
ビルマネジメント
ポートフォリオ総合分析
アセットマネジメント
固定資産管理

上記のパッケージ群を見れば、不動産に関わる情報の管理から、実際の施設や不動産に関わる収益の管理、ビルのマネジメント、複数の不動産のポートフォリオ分析、会計に関わる固定資産管理について、実際の現場で必要な機能を網羅して提供していることが伺うことができます。

導入事例

導入事例ページは、実際のお客様の課題や、効果を理解する上では有効です。日本生命の導入事例ページを、見ると、不動産管理業務に関わる現場の苦労や課題が理解できます。

例えば、日本生命は、約400棟もの賃貸用ビルを保有しており、それだけでも管理が大変ということも理解できます。

特に、不動産は、財務会計とも密接に関わってくるため、数字の管理などミスが許されず、それだけでも業務が大変ということが理解できるでしょう。

導入の効果としては、会計制度や税制改正の早期対応と書かれてあり、これはクラウドでサービスを提供するからこそ実現ができるメリットでしょう。

自社開発のシステムの場合は、タイムリーに制度が変わったタイミングなどで、改めて開発をしなければならないので、それだけでも追加のコストになります。

その点、不動産管理業務の専門として、業界や制度の動向を専門的に把握している会社のツールに任せた方が安心であり、コストも安くできるのでしょう。

考察

プロパティデータバンクのビジネスは、不動産業界に特化したビジネスモデルであるため、専業ならではの強みを持っていると考えられます。不動産自体は、世の中から無くなることはないので、ビジネスとしては安定した成長が見込まれるのではと考えられます。

管理しているビルの棟数によっても課金するモデルなので、不動産を複数保有する大口の契約となれば、一気に成長する可能性も秘めています。解約率に関しても、一度導入してしまえば、業務の中に組み込まれるので低いのではと予想しています。

一方で、懸念点としては、不動産市況が悪化した場合に、管理している不動産を手放したり、不動産ファンド自体が無くなったりした場合に影響を受けることがある可能性がありそうということぐらいでしょうか。

もちろん、不動産は誰かの手から誰かの手に渡ることになるので、その不動産自体が無くなることがない限り、管理するという業務は発生するはずなので、パイとしては同じだとは思われます。

競合という観点から考えると、同社のように不動産の管理に特化したシステムというのはあまりないのではないかと思います。自社のシステムか、管理自体をマニュアル的に(エクセルなどで)やっているケースが多いのではないかと。

一部気になる銘柄としては、プロシップ(固定資産管理のパッケージシステム)でしょうか。同社は、固定資産管理のシステム提供としてあらゆる固定資産に対応しているので、不動産も対象として含まれる可能性があります。

今後の動きに注目です。

※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。