株式会社アクリート(4395)事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性
- 2019.02.23
- 株式投資

アクリート(4395)の業績、売上高等を分析、考察しています。
まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。
- 1. 株価関連情報
- 2. 売上高推移
- 3. 営業利益推移
- 4. 当期利益推移
- 5. ROE推移
- 6. 有利子負債推移
- 7. 現金等推移
- 8. キャッシュフロー推移
- 9. アクリート、ビジネスモデル・事業内容
- 10. 導入企業が超一流、グローバルIT企業、豊富な実績
- 11. SMS配信市場2年連続シェアNo.1 (2015年,2016年)
- 12. 携帯電話業社との直接接続、国内正規ルートを確保
- 13. セキュリティ関連の技術なので、ニーズは拡大傾向
- 14. SMS配信は万人にリーチできる手段である
- 15. 国内企業の普及率がまだまだ低いこと
- 16. 高収益モデル(社員数が11名 2018年12月末時点)
- 17. SMS配信市場自体は伸びる予想
- 18. 健全な財務体制(2018年12月期末時点、有利子負債ゼロ)
- 19. SMS配信の利用目的は多様
- 20. 競業他社との競争が激化している可能性がある
- 21. 海外SMSアグリゲーターの売上依存が高いこと
- 22. 株価の水準
- 23. 分析コメント
株価関連情報
(調査日時:2021/2/1)
時価総額:74億円
PER(予):43.65倍
PBR:6.47倍
売上高推移
(単位:百万円)
2016年:351
2017年:949
2018年:1,291
2019年:1,413
2020年:-
営業利益推移
(単位:百万円)
2016年:36
2017年:171
2018年:246
2019年:254
2020年:-
当期利益推移
(単位:百万円)
2016年:15
2017年:112
2018年:152
2019年:170
2020年:-
ROE推移
(単位:%)
2016年:18.9
2017年:58.6
2018年:18.4
2019年:16.7
2020年:-
有利子負債推移
(単位:百万円)
2016年:36
2017年:26
2018年:-
2019年:-
2020年:-
現金等推移
(単位:百万円)
2016年:60
2017年:223
2018年:769
2019年:988
2020年:-
キャッシュフロー推移
営業活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:22
2017年:170
2018年:123
2019年:211
2020年:-
投資活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-17
2017年:5
2018年:-15
2019年:-19
2020年:-
財務活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-11
2017年:-13
2018年:438
2019年:26
2020年:-
フリーキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:4
2017年:176
2018年:107
2019年:192
2020年:-
アクリート、ビジネスモデル・事業内容
※以下は、2019年に調査した内容となります。適宜追記してきます。
時価総額100億円以下の中小企業で、気になった銘柄がありましたので、調べてみました。
今回はアクリート社です。この会社、SMS配信事業でパイオニアの企業で、最近上場した比較的新しい会社です。
事業内容は単一事業の、SMS配信事業です。
携帯電話を持っている人なら一度は使用したことがあるサービス、SMS(ショートメッセージサービス)のことです。
実はニッチな市場ですが、このSMS配信マーケットは近年急激に伸びています。
日本ではあまり馴染みが無いかもしれませんが、海外ではSMSの使用は当たり前。例えばアプリをダウンロードして個人認証の際にSMSが活用されていたります。
日本の市場においても、海外のアプリの普及やセキュリティーの意識の高まりに伴って市場規模は伸びています。
それでは、細かくみていきましょう。
アクリートのミッションは、
大量のSMSを、正確に、安定して配信する
SMSの事業用途を広げる
SMS配信マーケットを健全に発展させる
出典:当社HP
会社ミッションにも掲げられている通り、SMS事業にフォーカスしており、SMSのマーケットを切り開いていく姿勢が伺えることができます。
個人的にアクリート社の注目すべき点をまとめてみました。
導入企業が超一流、グローバルIT企業、豊富な実績
会社HPを見ていただければ分かるのですが、導入企業の一覧企業に錚々たる企業名が並んでいます。小さな会社ですが、実績があることが伺えることができます。
SMS事業のパイオニアであること、携帯大手三社と直接契約を結んでいるなど、優れていることが伺えます。
導入事例:https://www.accrete-inc.com/usecase/
SMS配信市場2年連続シェアNo.1 (2015年,2016年)
HPのトップに記載があるのですが、市場シェアNo.1を確保していたことがあります。
しかしよく見ると、2015,16年のデータと記載があるので、注意しなければいけません。2017年度は競合他社にシェアを奪われていることが伺えます。
ただ、この規模で市場シェアのトップを走っていることは間違い無いでしょう。
携帯電話業社との直接接続、国内正規ルートを確保
この点は、SMS配信事業において特に重要な点。この正規ルートが無いと配信自体が難しい可能性もあります。
資料を読んでいると、いわゆる正規ルート外でのSMS配信もある模様ですが、こちらは到達率が低いなどセキュリティの強化に伴い減少傾向であるようです。
そういう点、当社は正規ルートを確保できている点は評価できる点でしょう。
セキュリティ関連の技術なので、ニーズは拡大傾向
これはSMS配信市場全体について言えることなのですが、SMS配信市場はセキュリティーの意識の高まりと密接に関わっています。
というのも、電話番号と個人は必ず1対1で紐づいているので、個人認証という手段においては他よりも優れているからです。
個人のなりすましを無くしたり、二段階認証の手段として活用されたりなど、今後使われる場面は増えていく可能性が高いです。
隠れたセキュリティ関連銘柄であると言えます。
関連記事:セキュアヴェイル (3042)ブログで企業分析|サイバーセキュリティ注目小型株
SMS配信は万人にリーチできる手段である
これは、マーケティングコミニケーション手段としてのSMS配信の可能性について考えられます。
先ほど述べたとおり、SMSは個人と1対1で紐づいています。そして、今の時代万人が携帯電話を持っています。
個人的にも、ショートメッセージは頻繁には見ることはないのですが、メッセージがあるとついつい見てしまうことが多いです。
そういう意味では、開封率も、迷惑メールよりも断然に高い可能性があります。
SMSの内容、質がしっかりと保たれているのであれば、一定の開封率は見込めるためマーケティングツールとしても期待ができそうです。
国内企業の普及率がまだまだ低いこと
当社の決算資料を見ると、SMS配信サービスの利用は、国内普及率という観点ではまだまだ低い模様です。
日本のセキュリティの意識が低いこと、LINEなどのソーシャルメディアの普及率が異常に高いことが要因として考えられるかもしれません。
海外では当たり前のように使われているサービスですので、今後のセキュリティ意識の高まりとともに普及する可能性は高いでしょう。
高収益モデル(社員数が11名 2018年12月末時点)
この点が一番驚いたのですが、上場企業でもあるにも関わらず社員数が11名ということです。
つまり儲かる仕組みはすでに出来上がっている高収益体制ができているということが伺えます。
労働集約型のビジネスではない、仕組みのビジネスという点で、コストがそこまで高くないという点は、ビジネスモデルとしてとても高く評価ができます。
SMS配信市場自体は伸びる予想
当社の決算資料を見ると、今後のSMS配信市場の伸びが理解できます。そして、その伸びがとても高い。2021年には、配信数が2017年の3倍から4倍近くに成長することが伺えます。
ここまで短期間で成長するマーケットは国内においてなかなか見当たりません。
健全な財務体制(2018年12月期末時点、有利子負債ゼロ)
高収益なビジネスモデルであることが理解できます。有利子負債がゼロ、上場したばかりなので資金的な余力もあります。
今後の成長に向けた投資を継続できることと、業績の落ち込みにも耐えられる体制となっていることが予想できます。
SMS配信の利用目的は多様
今後の利用目的は、いろんな業界に活用できそうです。個人認証、マーケティングコミニケーション、IoT分野での遠隔操作などが挙げられています。
個人認証という観点では、FinTechの普及や、CtoCのアプリの普及など様々サービスの拡大ともに市場は拡大しそうです。
IoT分野の点がよく理解できなかったのですが、IoTの普及とともにSIMを活用した遠隔操作にSMS配信の技術が活用されるということかと思われます。(この点は要調査)
IoT分野は今後爆発的に普及することが予想されるので、通信の分野でサポートするSMS配信技術は面白そうだと思います。
次に懸念点について検討していきたいと思います。
競業他社との競争が激化している可能性がある
SMSの配信だけなので、どのように差別化するのかがポイントになります。
ちなみに競合他社は
NTTコムオンライン・マーケティングソリューション
https://www.karaden.jp/karadenpush/
AOSモバイル
https://www.aossms.com/
メディア4u
https://www.media4u.co.jp/
大手4社の寡占状態。最大の競合相手はNTTコムになりそう。2017年に関しては、NTTコムがシェアNo.1を確保しています。
参考記事:https://www.nttcoms.com/news/2018081601/
NTTコムオンライン・マーケティングソリューションの存在が気がかりです。この会社のバックにはNTTがいるので、資本力もブランド力もあるので、どのようにシェア奪還するのかが気になるポイントではあります。
海外SMSアグリゲーターの売上依存が高いこと
平成29年12月期における売上高の70%近くが、海外アグリゲーターがグローバル企業より委託されたSMS配信を、アクリートが国内向けに配信受託している状況。
少し分かりにくいのですが、海外アグリゲーターとの関係性の変更が売上にダイレクトに影響を与える状況はリスクとなるということです。
海外のマーケットでは、アクリートと同じようにSMS配信を一手に引き受けている アグリゲーターが何社かいるのでしょう。
その海外アグリゲーターとアクリートは取引があり、そこからの売上の比率がアクリートは高いということです。
リスクとしては、海外アグリゲーターが他社競合企業への切り替えや自前で国内市場に参入した場合は売上減少する可能性があるということです。
株価の水準
分析コメント
個人的には、SMS配信事業自体にすごく魅力を感じています。
一方で、競合他社の存在が気がかりとなります。
SMS配信事業自体にどのような差別化ができるのかが理解ができないため、価格競争になってしまうと資本力がないと勝てない可能性も出てきます。
すでに寡占状態となっている市場だけに、市場の成長率が競争を凌駕すれば、成長は見込めるのですが、必ずしも圧倒的なトップで走り続けることができるとは言い切れないでしょう。
参考資料:
目論見書
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/201806222101.pdf
2018年12月期決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4395/tdnet/1679036/00.pdf
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※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。
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