東海ソフト(4430)、事業内容、ビジネスモデル、強みと成長可能性
- 2021.01.24
- 株式投資

今回は、ソフトウェア会社で、2019年上場と比較的新しい企業である、東海ソフト(4430)の業績、売上高等を分析、考察しています。
まずは、客観的に事業内容を精査する前に実績値としての数字を見ていきたいと思います。
株価関連情報
(調査日時:2021/1/22)
時価総額:59億円
PER(予):15.2倍
PBR:1.66倍
時価総額は、59億円と100億円以下の割安な水準です。システム会社であるので、PER、PBRも情報通信系のサービスでは、平均的、成長株というと低い水準かと思います。
株価チャート(10年)
最近上場したばかりなので、10年チャートはあまり意味をなしません。
株価チャート(5年)
2019年に上場してから、下落が続いていましたが、2020年に高騰があり、その後は下落基調といった感じです。IPO銘柄にありがちなパターンです。
株価チャート(1年)
2021年の夏ごろから続いている継続的な下落が突いています。直近は下げが止まらない感じがしています。
売上高推移
(単位:百万円)
2016年:5,407
2017年:5,450
2018年:5,790
2019年:6,306
2020年:6,730
売上高は順調に右肩上がりで推移しています。成長率でみると、CAGRが4年間で、5.6%程度はそこまで高くはありません。成長率は、ここ数年も横ばいという感じです。
営業利益推移
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:218
2018年:309
2019年:452
2020年:509
営業利益は右肩上がりで成長しています。成長率は、売上高と違い高い水準で成長しています。売上高の成長率よりも営業利益の成長率が高いということは、効率的に稼ぐ仕組みやコスト削減ができているのかもしれません。
当期利益推移
(単位:百万円)
2016年:234
2017年:156
2018年:221
2019年:272
2020年:377
当期利益に関しては、2017年の落ち込みはあったものの、2018年以降は順調に推移しています。
ROE推移
(単位:%)
2016年:-
2017年:11.7
2018年:14.4
2019年:9.7
2020年:10.8
ROEハ10%以上と比較的良い水準です。
有利子負債推移
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:-
2018年:-
2019年:274
2020年:166
有利子負債は、ほとんどない水準といっても良いでしょう。
現金等推移
(単位:百万円)
2016年:913
2017年:564
2018年:1,044
2019年:2,288
2020年:2,237
現金は豊富にあります。特に2017年以降、順調に積み上げています。現在の水準は、22億円です。2017年の利益の落ち込みから2018年に飛躍が見られるので、投資によって企業の体質が変化した可能性があります。
キャッシュフロー推移
営業活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:-139
2018年:392
2019年:371
2020年:427
2017年のマイナス以外は、2018年以降はプラスで推移しています。
投資活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:-45
2018年:62
2019年:-53
2020年:-663
2017年〜19年は、1億円以下で推移していたのですが、2020年に、大型の投資を実行している模様です。ここは気になるポイント
財務活動のキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:-164
2018年:24
2019年:925
2020年:185
2019年に大型の調達をしている可能性があり、2020年の投資キャッシュフローのマイナスは流れとして理解ができます。
フリーキャッシュフロー
(単位:百万円)
2016年:-
2017年:-185
2018年:455
2019年:318
2020年:-236
フリーキャッシュフローは、2020年の投資キャッシュフローのマイナスによってマイナスとなっています。常にフリーキャッシュフローがポジティブという安定した状態というより、フェーズとしては投資フェーズということがわかります。
事業内容
会社HPの業務内容というページに、一覧で行っていることが書かれていて参考になりそうです。業務の分類としては、「産業・FA」「ソリューション」「エンベデット」の3つになりそうです。
システム会社らしく、最先端のテーマなどを扱っています。
・AIシステム開発
・IoT、M2Mソリューション
・画像処理
・MES基幹系システム開発
・制御、計測、監視、物流
・生産管理システム
・モバイルソリューション
・民生向け組み込み開発
・開発手法
・組み込みプラットフォーム
技術系のバックグラウンドを持っていないと、ここら辺のテーマはなかなか理解が難しそうです。それぞれのページをみると、製造業における生産現場におけるシステム開発が多い印象です。
IoT、M2Mソリューションは、自社製品を持っている模様で、生産現場における、稼働状況のモニタリングシステム、Flex signal、デバイスデータをクラウドで一括管理するFlex Deviceです。
個人投資家向けの要約
個人投資家向けに要約ページがIRにありました。企業としても個人投資家が理解が難しいことを理解してまとめてくれているのでしょう。
ビジネス上のセグメントは、3つと書かれています。①組み込み関連事業、②製造、流通及び業務システム関連事業、③金融・公共事業
それぞれの事業についての説明があるのですが、それでも専門用語が散りばめられてあり、投資家フレンドリーとはなかなか言いづらいですね。
組み込み関連事業
簡潔にいくと、①組み込み関連事業は、自動車を中心としたECU(エンジン・コントロール・ユニット)の開発、受託を行っている模様です。例えば自動車には、さまざまな動力があります。エアバックや照明、ドア、ナビゲーション等、それらのシステムはコントロールされる必要があり、その制御システムがECUということだと個人的には理解しています。
DENSOのページにそもそもECUとは何かの具体的な説明があるので、こちら参照すると良いでしょう。
参考:ECUとは
製造、流通及び業務システム関連事業
製造・流通システム開発と、業務システム関連開発に分かれています。前者は、生産工程における様々なシステムを制御するソフトウェアの開発です。車載組み込みと同様、ECUのように制御システムに当社は強みがあるような気がします。
業務システム関連開発は、業務上必要な様々なシステムを開発しています。例えば、生産管理、在庫管理、工程管理などです。
金融・公共事業関連
こちらは、特に特定の特徴があるという感じではなく、顧客の業界としてセグメントしている模様です。金融業界と自治体、大学等、公共を相手にしている事業というところです。
売上高の構成及び取引先
それぞれのセグメントの売上高の構成比率や顧客の内訳については、決算説明資料にまとまっていて分かりやすいです。
直近の2021年第二四半期の説明資料を見ると、ポイントは以下の通りです。
・売上構成比は、組み込み関連事業 36%、製造・流通及び業務システム関連 51%、金融・公共関連事業 12%
・組み込み関連事業の顧客は、車載関連がトヨタグループが大半、民生・産業機器では富士電機が大半。
・金融・公共事業の顧客は、日立グループがほぼ100%近く
特定の企業というところでいくと、トヨタ、富士電機、日立グループへの依存度が比較的高いということが理解できます。
考察と今後
数字を見ると、株価の水準は割高水準ではなく、業績も右肩上りで推移しているのは良いポイントです。最近は売上に対して利益の成長率が高くなっているので、収益率の高い案件に関われているのでしょう。
事業内容自体は、構成比で考えると、製造、流通及び業務システム関連事業の割合が高く、新規顧客の割合が多く、年度毎の顧客の入れ替わりも多いとの記載もあるので、変動は高いビジネスなのではと予想がつきます。
二つ目に売上高構成比として大きな組み込み関連事業に関しては、車載組み込み関連事業は、テーマ性のある面白い領域だと考えられます。特に当社はトヨタグループ向けの比率が高いようなので、自動車業界自体が大きな変革を求められているので、何かしら動きがあるテーマをもった銘柄とも言えるでしょう。
事業沿革を見れば、2018年の7月に、株式会社ネクスティエレクトロニクスと業務資本提携を発表しており、当社は豊田通商グループなので、トヨタグループとの関係性がますます強まっていることがわかります。
2019年2月に上場したばかりの比較的上場マーケットでは新しい企業なので、今後の動きにも注目する必要がありそうです。
テンバガー可能性
「B」
※「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5段階で勝手に評価した場合です。
関連記事:【まとめ】小型、成長株のおすすめスクリーニング方法、実践編
関連記事:小型成長株、銘柄一覧【注目の新興銘柄40社を独自調査】
※本記事に掲載されているコメントは、あくまで個人的見解に基づくものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。また記載事項個人の調査に基づくものであり、100%正確であるとは限りませんので。くれぐれも投資は自己責任でお願い致します。
効率的に株式投資を学ぶ方法
個別の銘柄を細かく全てチェックする時間がない方には、いくつか効率的に勉強する方法があります。
方法①:著名な投資家の本を読むことで投資の本質を学ぶ
王道ですが、株式投資の本質を理解しておくことで、闇雲に銘柄をチェックする手間が省けます。
初心者の方は、早い段階で本質的な考え方や思考方法をウォーレンバフェットをはじめとした著名投資家の本を読み、インプットしておくことが長期で役に立つものだと信じています。
参考記事:【投資本・決定版】株式投資の本質を勉強するため、おすすめ10冊
方法②:無料のセミナーに参加して、学習すべきポイントだけをつかむ
無料提供という範囲の中で、とりあえず学習するべきポイントだけを抑えてしまうという方法です。
投資やお金に関する基礎を身につけることは、年齢の若い早いタイミングで身につけておくべき長期で役立つ教養となります。
関連サイト:
・株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー
【公式】https://www.f-academy.jp/

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